投げ込みやキャッチボールなどのピッチング練習は投手力アップには欠かせませんよね。
投げ込みやキャッチボールなどのピッチング練習はグラウンド、ブルペンなどのある程度広い場所が必要です。
しかしピッチングを上達させるピッチング練習は、別にグラウンドやブルペンなどの場所でなくてもできます。
ある程度の広さの場所があれば工夫次第で
- ピッチングフォーム作り
- コントロールの向上
- 球速アップ
のためのピッチング練習は十分可能です(^^)
- 狭い場所でもできる”効果的に投手力をアップさせるピッチング練習のやり方”とは?
- 投球術No.1投手がしていた制球力をアップさせる”ある意外な場所”でのピッチング練習とは?
どんな場所でも工夫次第でピッチングは確実に上達します(^^)

速いボールを投げるだけがピッチング練習ではない
自分の力を出し切って速いボールを投げるピッチング練習は良い練習になります。
しかし、そんなピッチング練習ばかりしていると選手生命を脅(おびや)かす大きな問題が起こります。
それは「肩や肘のケガ」です(>_<)
ピッチングフォームの良い悪いは別にして、一番肩や肘に負担がかかる投げ方は、どんな投げ方か知っていますか?
それは「一番速いボール、つまり100%の力で投げるストレートの投げ方」です(>_<)
こういったピッチング練習は確かに必要ですが、過度に行うとケガの元になるのであまりオススメできません。
「でも試合ではスピードのあるボールをコントロール良く投げないといけないから、しっかりと速いボールを投げ込まないとダメ!」
と言う声が聞こえてきますが(^^;
確かに試合では速い球を制球よく投げる必要があります。
しかし100%の力でピッチング練習しなくても、コントロールに関しては良くなることが分かっています(^^)
ピッチング練習は○○%以下の力で投げてもコントロールは良くすることができる
力を抜いた軽いピッチング練習でも、コントロールは良くすることができます。
実は「50%以下の力」でのピッチング練習でもコントロールは良くできるのです。
「そんな軽く投げてコントロールが良くなるの?」って思ってしまいますよね。
でも50%以下程度の力で投げても、ちゃんとコントロールを磨くことはできますので安心して下さい(^^)
軽く投げてもいいので肩や肘の負担も減ります。負担も減るので数多くピッチング練習ができるため、より制球力アップが目指せます。一石二鳥ですね(^^)
そこでオススメなのは、制球力アップに効果抜群のピッチング練習「パラボリックスロー」です。
肩や肘に負担をかけずコントロールが良くなるピッチング練習『パラボリックスロー』とは?
コントロールを良くする「パラボリックスロー」を考え出したのは、筑波大学体育系准教授の川村卓氏です。
川村氏はスポーツ選手の動作解析の研究を行い、野球の動作解析の著書を多数出されています。
このピッチング練習は、簡単に説明しますと
「パラボリック(山なり)のボールを目標に向かって投げる」
というものです。
実際に、川村氏の研究で”コントロールを良くする効果”が認められました。
特に、大学生の場合はすぐに制球力アップの効果がみられ、中学生はしっかりと続けて行うことでやらなかった選手よりコントロールが向上しました。
パラボリックスローの詳しいやり方は「約10m離れたゴミ箱(高さ150cm,直径43cm)にボールを投げ入れる(30球×1セット)」になります。
川村氏がこのピッチング練習を思い付いた理由は、野球とは関係ないと思われるスポーツ「バスケットボール」でした。
フリースローの上手な選手は「奥行きを把握する深視力感覚が優れている」という研究結果がある。
そこで「ピッチャーでも同じではないか」と考え、肩や肘に負担をかけずパフォーマンスを上げる方法として「パラボリック(山なり)スロー」を開発した。
参考文献:ピッチングの科学
確かにコントロールの良いピッチャーは、山なりのボールでも制球良く投げます。
そういうピッチャーは「奥行き」、つまり「目標物までの距離感」を把握する”深視力感覚”が優れているんですね。
このピッチング練習で大切なのは「”山なり”のボールを放物線を描くように投げる」ことだそうです。
研究では「ゴミ箱に入るか入らないか」はどちらでもよく「繰り返すことに意味がある」といいます。
パラボリックスローは「10mという”距離”」と「ゴミ箱という”目標物”」を変えれば、どんな場所でも応用できます。
距離は何mという制限はなく、距離が伸びるほど難しくなりますよね。
目標物はどんな大きさのゴミ箱でもいいですし、バスケットゴールなどでもいいですよね。
場所は自宅(自分の部屋、リビング、庭など)や狭い広場など、それほど広い場所は必要ありません。
パラボリックスローで「奥行き(目標物までの距離感)を把握する深視力感覚」を磨いてコントロールを良くしましょう(^^)
ボールを投げるだけがピッチング練習ではない
ピッチング練習といえば「ボールを投げる」のがメインですが、実際にボールを投げなくてもピッチングは上達します。
特に野球を始めて間もない初心者は、実際にボールを投げるよりも大切なピッチング練習があります。
勘の良い人なら、もうお気づきでしょう(^^)
それは「シャドーピッチング」です!
「シャドーピッチング」は場所を選ばない
シャドーピッチングは、グラウンドやブルペンなどボールを投げることができなくて「仕方なくするもの」と思ってる人もいるかもしれません。
しかしシャドーピッチングは、ピッチングの上達に必要不可欠なものです。
特に、野球を始めたばかりの初心者にとって一番大切なピッチング練習になります。(中級者~上級者にも大切なものですが・・・プロもやっていますもんね^^)
初心者は、ピッチングフォームが悪く、毎回ピッチングフォームが違っていて安定していません。
そのまま投げ続けると、どうしても肩や肘を痛める可能性が高くなります。
ピッチングフォームが安定せず毎回違うと、リリースポイントも毎回違うのでコントロールは安定しません。
それを修正しようとすると、小手先でコントロールしようとして肩や腕にムダな力が入ってしまいます。
それをそのまま続けてしまうと変な癖(悪いフォーム)が身に付いていまい、後で修正するのは難しくなります。またケガや故障につながります。
そうならないために「ピッチングフォーム作り」が必要になります。
正確には「肩や肘に負担が少ない、その人にとって最適なピッチングフォーム作り」が必要になります。
ここで『シャドーピッチング』の出番です!
シャドーピッチングの良い所は「コントロールを気にせず気持ちよく腕が振れる」という点です。
ここで大切なのが”自分の感覚”で「肩や肘にひっかかりがなく、いかに気持ちよくスムーズに腕が振られるか」をどんどん追求していきます。
すると、その人にとって肩や肘の負担が少ない『最適な腕の軌道』を自然と描けるようになります。
その人にとって『最適な腕の軌道』を描けるようになると肩や肘に負担が少ないので「ケガの予防」になりますし、ひっかかりがなくスムーズに腕が振れるので「自然と腕の振りが速く」なります。
シャドーピッチングの効果をまとめると
- 最適なピッチングフォームを作れる
- ピッチングに必要な筋力アップ(上半身・下半身・体幹)
- 腕の振りを速くする(球速アップ)
- コントロール向上
- ケガの予防
となります。やらなきゃ損ですね(^^)
腕が振れるスペースの場所があれば大丈夫
シャドーピッチングは思い切り腕が振れる場所であれば、どんな場所でもできます。
シャドーピッチングを真剣にやれば、ピッチングが驚くほど上達します(^^)
どんな場所でもできて、ピッチングが上達するシャドーピッチングはオススメです(^^)
シャドーピッチングはタオルを使うことが多いですが、バドミントンのラケット、プラスチックのバットなど応用がきくのも良いところですね(^^)
少年野球~高校球児、プロまでシャドーピッチングで使っていて評価がとても高い「なげるーん」もオススメです(^^)
シャドーピッチングのコツ
ピッチングの上達に役立つシャドーピッチングのコツは「上半身(特に肩から腕にかけて)の脱力」です。
ピッチング動作は下半身主導です。下半身の力を効率的に伝えるためには「上半身の脱力」が大切になります。
上半身の力を抜いて腰が回転したら、それにつられて自然と「腕が振られる」という感覚です。
意識して「腕を振る」のではありません
腰の回転につられて、「”勝手に”腕が振られる」のです。
このコツをつかめると「最適な腕の軌道」を描けるようになり「最適なピッチングフォーム」が完成されていきます。
ピッチングネットがあれば狭い場所でも思い切り投げられる
ピッチングネットは、自宅でピッチング練習をするときに大きな味方となってくれます。家の中、庭など、狭い場所でもできますよね(^^)
ピッチングネットは壁の代わりになるようなものもあり、壁がない場所でも壁当てができます。
家の中や庭などの広くない場所では、なかなか思い切りボールを投げることができません。また自宅では、ボールをぶつけても大丈夫な壁がある家は少ないですよね。
ピッチングネットは「壁などがない狭い場所でも実際にボールを使った本格的なピッチング練習ができる」という大きな利点があります。
買っても良いですし、自作(ある程度知識が必要ですが)しても良いですよね^^
シャドーピッチングも効果的なピッチング練習ですが、やっぱり実際にボールを投げたいですよね。
こんな時はピッチングネットはとても有効です(^^)
制球力No.1投手がピッチング練習をしていた意外な場所とは?
2015年にプロ野球選手などが選ぶコントロール・キレ・駆け引きなどを総合した「投球術部門」でNo.1に輝いた吉見一起投手!
プロ野球選手から選ばれるというのはスゴイですね(^^)
吉見投手は「ここぞ」という所では「ドアノブほどの大きさをイメージして投げ込む」と言うほどのコントロールを誇ります。
その緻密なコントロールは、小学生時代の「”ある場所”での的当てゲーム」で磨かれていったと言います。
「子供の頃は団地住まいだったんです。そこで毎日、放課後にしていたのが『的当て』でした。
団地の1階玄関に上がる4段の階段があって、1段目の1番から4段目の4番までを予告してボールを当てるゲームです。
車1台分の道を挟んだ距離で、使うのはテニスボール。友だち相手に負けたことはなかったですね」
引用元:フライデー
吉見投手の精密機械のような制球力・低めへコントロールは「”階段”での的当てゲーム」が原点だったんです。
吉見投手も「今思えば、あれが生きている」と語っています。
階段という団地ならどこでもある場所でピッチング練習(吉見投手は遊びと言っていますが)をして、毎日コントロールを磨いていたんですね。
それもテニスボールなら、変なところに飛んでも野球のボールよりは安全ですよね。
この的当てゲームはやってみると意外と難しく、なかなか面白いピッチング練習です。友達と一緒にして競い合うと、それも良いプレッシャーにもなり非常にいい練習になると思います(^^)
遊び感覚でできますので、子供の練習にはとても良いですよね(^^)
吉見投手は小学生で背が低かったので1~4段で良かったのですが、中学生以上の選手は背が高いのでもう少し高さを上げて3段目か4段目くらいから上の方がいいと思います。
階段という場所で、ピッチング練習をするという発想はなかなか無いですよね。
階段はコントロールを間違えると、どこに跳ねるか分からないので、テニスボールやゴムボールなどの柔らかいボールで危険のないようにして下さい。
テニスボールやゴムボールなどでもちゃんとコントロールは良くなります。
周りに道路があったり車が通るような場所では危険ですので、このような場所ではしないようにして下さい。また絶対に人に迷惑がかからないように、当たらないように注意して行って下さいね(>_<)
メディシンボールを投げるのもある意味ピッチング練習
メディシンボールを投げる練習は投手力アップにとても有効です。
ピッチングやバッティングなど球を投げる・打つ動作がある球技では、他のスポーツには少ない「ひねり動作」があるのが特徴です。
この「ひねり動作」を強化できるのがメディシンボール投げです。
ピッチング・バッティングは対象になるもの(ピッチャーならバッター、バッターならピッチャー)に対して体を横に向け、そこから対象に対して体を向けます。
その時に「ひねり動作」が必要になります。
野球の練習では『筋力を強化→捻る動作の強化』という順番で強化していきます。
まず筋トレをして筋出力を鍛えます(全身を鍛えますが、特に大切なのが下半身)。
その後、メディシンボールを使って野球(ピッチング・バッティング)特有の「ひねり動作」を鍛えていきます。
メディシンボールは、壁に投げるのもいいですが、壁がなければ人に向かって投げます。
投げるときは下半身(膝や股関節)の力を利用し、体全体を連動させて、メディシンボールを投げます。
腕の力で投げるのではなく、下半身(膝と股関節)で地面を蹴るイメージで、その力を体幹→上半身と伝えていって、体全体を使って投げるのです。
メディシンボール投げは、横から投げる、上から投げる、下から投げるなど色んなバリエーションがあります。
それほど広い場所は必要ありません(広い場所があれば、なお良いですが)
メディシンボールは「ひねり動作」の強化だけではなく、投手力アップに有効な点がまだあります。
それは「体重移動」がうまくできるようになるという点です。
ピッチャーにとって大切な軸足~踏み出す足への「体重移動」の動作も同時に向上させることができます。
ピッチング動作と同じように「体重移動して、体をひねってボール(メディシンボール)を投げる」・・・これはある意味ピッチング練習です(^^)
狭い場所でもできて、ピッチングに必要不可欠な「ひねり・体重移動」の動作を強化できるメディシンボール投げはオススメです!
○○練習も効果的なピッチング練習
○○練習も効果的なピッチング練習です。
この○○とは何だと思いますか?
それは送球です。正確には「守備での送球練習」になります。
この練習をよくしていたのは巨人、メジャーで活躍した上原浩治です。
抜群の制球力があり、長いプロ野球の歴史のなかで通算与四死球率(1.20)が最も低いピッチャーです。メジャーに移籍してもコントロールの良さはトップクラスです。
しかし上原投手といえば、制球力以外に飛び抜けているものがあります。
それは「ストレートの伸び・キレ」です。140キロ前後の遅いストレートですが、抜群の伸び・キレでメジャーリーガーから数多くの三振を奪います。
「フォアボールが少なく奪三振が多い投手」として、とても評価の高い選手です。
上原投手は、ストレートのキレを磨くために守備での送球練習を積極的にしていました。守備の場所はサードや外野など様々です。
外野からの送球、サードからの送球、塁間で助走をつけての送球など・・・
なぜ上原投手はこの練習をするのか?
上原投手いわく「体全体を使って、体の力をしっかりとボールに伝えるため」
僕はそれ以外にも「すぐにトップの位置に腕を持ってくるため」とも考えています。
早めにトップの位置に腕がくるとボールに力を伝えやすくなります。
上原投手はテイクバックが小さくすぐに腕がトップの位置にくる「野手投げ」といわれています。
ふつう「野手投げ」というのはイメージがよくありませんが、上原投手は理にかなっているなら「野手投げはOK」と考え、理想の投げ方の選手は高橋由伸(巨人1998~2015年)だといいます。
高橋由伸といえば入団一年目から6年連続ゴールデングラブ賞のプロ野球記録を持っている守備の名手です。
遠投120mの強肩と正確さを兼ね備え、大学時代リリーフとしてMAX149キロのストレートを投げていました。また打球を捕ってから投げるまでが早いのも特徴で、その素早く正確な送球で多くのランナーを刺しています。
守備での送球練習は、打球を捕ってから
- すばやくトップの位置に腕を持っていく
- 体全体を使って、体の力をしっかりとボールに伝える
ということを覚える練習になります。
このことから守備での送球練習は、効果的なピッチング練習といえます(^^)
また上原投手は、体全体を使うピッチング練習として「遠投」を最も重要視しており、短い距離でも長い距離でも「低い弾道=ライナー」で投げることを意識しているといいます。
守備での送球練習はある程度広い場所が必要になりますが、とても効果的なピッチング練習なのでピッチャーでも積極的にして下さいね(^^)
まとめ
工夫次第でグラウンドやブルペン以外の場所でも、投手力をアップさせるピッチング練習ができます(^^)
「シャドーピッチング」は腕が振れるスペースがあればどんな場所でもできますし、真剣に行えばピッチングは驚くほど上達します。
コントロールの向上には、山なりのボールをゴミ箱などに入れる「パラボリックスロー」や「階段での的当てゲーム」が有効です。
また、ピッチングネットがあれば自宅などボールを投げることが難しい場所でも、思い切りピッチング練習ができます。
メディシンボール投げは、それほど広い場所は必要なく、壁などに投げることで野球特有(ピッチング・バッティング)の「ひねり・体重移動の動作」を強化することができる非常に効果的なピッチング練習といえます。
守備での送球練習は、ある程度広い場所が必要ですが、投手力アップに一役かってくれる立派なピッチング練習です。
当たり前ですが「ボール遊び禁止の場所」や「人や車が通る場所」ではボールを使ったピッチング練習は絶対にしないで下さい(>_<)
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