理想のピッチングフォーム!正しい足の使い方&野球に必要な足の鍛え方!

ケガなく速い球を投げるには、の使い方がとても重要になります。

下半身主導のピッチングフォームがしっかりできると、腕は力を入れなくてもリラックスしたままでスムーズに自然と振り出されます。

肩や肘の関節は、それほど強くありません。だから肩や肘に負担をかけるような上半身に頼ったピッチングフォームではケガをする可能性が高まってしまいます(^^;

強い負荷に耐えられる下半身(股関節や膝関節など)主導のピッチングフォームができると、それが自然と肩や肘のケガの予防になります。

今回は、野球のピッチングフォームで間違えてはいけない「”軸足”や”踏み込む前足”の使い方」をお伝えします。これができれば、自然と下半身主導のピッチングができるようになります^^

また「ピッチングに役立つ正しい足の鍛え方」もお伝えします。

昔の野球選手(特にピッチャー)は長時間の「走り込み」を中心に下半身を鍛えていましたが、現在の「足の鍛え方」は昔と大きく変わっています(>_<)

ケガなく速い球を投げるには無駄のないスムーズな並進運動が大切

ケガなく速い球を投げるピッチングフォームで大切になってくるのは「無駄のないスムーズな並進運動」です。

「並進運動」は、投げる方向に体を動かしていく動作です。

基本的にピッチングフォームは、投げる方向に足をステップすることで並進運動のエネルギーが生まれます。これがないと速い球を投げるのは難しくなります。

たとえば遠投するときには助走をつけると、より遠くに投げられますね。並進運動は助走のようなものです。

ピッチングフォームの流れは「構える→前足を上げる→軸足一本で立つ→前足を踏み込む→投げる」です。

これらが無駄がなくスムーズにできるかがポイントになります。

良いピッチングフォームの投手はスムーズで効率的な並進運動ができていて、これにより足から生まれたエネルギーを効率よくボールに伝えられます。

軸足は曲げる?曲げない?

ピッチングフォームでは、軸足の使い方がとても大切です。良いピッチングフォームの野球選手は軸足の使い方が力強く、かつ効率的です。

悪いピッチングフォームの人が、よく悩まれているのが「軸足を曲げるのか?軸足を曲げないのか?」この問題で悩んでいる人は意外と多いようです。

答えは「軸足は曲げます・・・しかし曲げすぎてはいけません!」

YouTubeでいろんな野球選手のピッチングフォームを見てください。必ず曲げています。軸足を曲げないと、大きな力が生み出せません!

しかし深く曲げすぎてはいけません。

前足を上げて軸足1本で立ってから、その後キャッチャー方向へ並進運動していきます。

この時に軸足を深く曲げすぎると、体が「下→前」という感じで移動してしまいます。自然にキャッチャー方向に体を移動させたいのに、「下に移動してから前に移動する」ためスムーズに並進運動できません!

実際に軸足を深く曲げてから、前に移動してみて下さい。かなり軸足に負担がかかるのがよく分かると思います。

“楽に”投げる方向に移動したいのにブレーキがかかり、余計な力が必要になり無駄が生まれてしまいます。

重要なのは、「徐々に」「少しだけ」軸足の膝や股関節を曲げながら並進運動の後半で、重力・軸足の膝と股関節を伸ばす(地面を蹴る)・股関節の回旋(回すこと)などのパワーを使って並進運動のスピードを上げていきます。

これらの力をロスなく使えると、楽に無駄なくスムーズで速い並進運動ができるようになり、ケガなく速い球を投げられるようになります。

そして、これが安定してできるようになるとコントロールも良くなります。

膝や股関節は曲げれば曲げるほど強い力が出せなくなる

膝や股関節は深く曲げれば曲げるほど、強い力が出せなくなり素早く伸ばすことできなくなっていきます。

これはバーベルを持ってスクワットをしたことがある人なら、よく分かると思います。

試しに重りを持ってスクワットをしてみて下さい。深く曲げれば曲げるほど、強い力が出せなくなり素早く足を伸ばせなくなるのが、良く分かると思います。

あまり曲げないほうが強い力を発揮しやすく、かなり重いウエイトでも持ち上げることができ、また素早く膝や股関節を伸ばせます。

そのため軸足をあまり曲げない方が、力がよく入り地面を力強く蹴ることができるため、球速もアップします^^

軸足の曲げる角度を覚えるには「軸足ケンケン」

力強く素早く軸足を伸ばす(地面を蹴る)には、ピッチングフォームで軸足を曲げたときの「最適な膝や股関節の角度を覚える」ことが大切です。

それを覚えるのに役立つ練習が「軸足ケンケン」です。

「軸足ケンケン」をして「より高く、またより遠く(投げる方向に)」に飛べたときの膝や股関節の角度が「軸足を曲げたときの最適な角度」になります。

「軸足ケンケン」をしてボールを実際に投げるのもいい練習になります。

実際に上原浩治投手は、遠投をするとき「軸足ケンケン」をしてから投げます。

メジャーに挑戦してからの上原浩治投手の軸足の蹴りは、巨人時代よりも更に強くなっています。

そのため、上原浩治は「前足を上げてからリリースするまで」が元々速いピッチングフォームをしていましたが、それが巨人時代よりも更に速くなりました。

そこから放たれるストレートは140キロ前後とメジャーではかなり遅い方ですが、回転数がずば抜けて多いため”伸び”がスゴく、強打者ぞろいのメジャーリーガー達から多くの空振りを奪います(>_<)

軸足だけではなく”前足”も地面を蹴るようにする

並進運動の後半で軸足の膝や股関節を伸ばして地面を強く蹴ることで、並進運動のスピードを上げるというのをお伝えしました。

また軸足で地面を蹴ったあと、踏み込んだ前足の使い方も重要です。

軸足で地面を蹴ったあとは「踏み込んだ前足も強く地面を蹴る(膝を伸ばす)」んです。

ピッチングフォームでこのことに気をつけると、腰の回転が驚くほど速くなります。

メジャーの最強守護神クレイグ・キンブレルは、効率的な素晴らしい足の使い方をしていて、とても参考になるピッチングフォームをしています。

キンブレルは身長180cmとメジャーではそれほど高くありませんが、浮き上がってくるように見えるストレート(最速162.5キロ)・鋭く曲がるカーブ(140キロ)で三振の山を築きます。ストレートとカーブは最高レベルの質を誇ります。

キンブレルのピッチングフォームは、前足の膝を少し曲げて着地し、その後膝を伸ばしています。

前足の膝を少し曲げた状態で着地して、その後地面を強く蹴る(膝を伸ばす)ことで後ろに体を戻すという感覚が大切です。

右ピッチャーでいうと、左膝を伸ばして急ブレーキをかけることで、左腰を軸にして右腰が前にいこうとします。そうすることで腰の回転スピードが速くなって、その上にある右肩も回転スピードが速くなります。

この足の使い方が腰の回転を速くして、球速をアップさせるのにとても効果的で、かつ効率的です^^

腰の回転が速くなると肩の回転も速くなり、結果的に右腕に力を入れて振ろうとしなくても自然に振り出されていきます。右腕は脱力(リラックス)させておいて、下半身で投げる感じですね^^

良いピッチングフォームのピッチャーは、上半身の力が抜けていて軽く投げているように見えても、腰の回転が速いので自然と速い球が投げられるのです。

日本の野球界では前足を深く曲げて投げることが多いですが、野球の本場メジャーではあまり膝を曲げないこのような足の使い方が主流で、日本に来た外国人ピッチャーも前足をあまり曲げません。

最近ではメジャーリーガーのピッチングフォームを参考にして、前足を伸ばす日本人ピッチャーも増えてきています。

前足の膝を深く曲げるよりも、あまり曲げないほうが腰の回転が速くなり、また疲れにくく効率的です^^

投手も野手も役立つ正しい足の鍛え方

野球選手は下半身(足)がとても重要です!

野球ではピッチャーもその他の野手も投げる・走る・守る・打つなど、基本的には同じ動きをします。

ここで大切となってくるのが「下半身(足)の使い方」や「下半身(足)のパワー」です!

下半身(足)で一番大きなエネルギーを作り、体幹→肩→腕→手→ボールまたはバットという順番でエネルギーを伝えていきます。全身の関節がスムーズに動くことで、ロスなく効率的にエネルギーを伝えていくことができます。

全身の作り出されるエネルギーの60%が下半身(足)で作り出されるといわれていて、下半身(足)の使い方・パワーで結果が大きく変わります。

ここでは野球選手全般に役立つ「足の鍛え方」をご紹介します。

「走り込み」はやり方を間違えるとマイナスになります!

メジャーで活躍するダルビッシュ有がTVで「走り込みをなくすべき」と言って、話題になりました。

日本の野球界では「走り込み(過度に量が多すぎる長距離走・短距離走)」は野球選手には欠かせない基本中の基本としてやられてきたトレーニングメニューでした。

ダルビッシュはこの「走り込み」は「筋肉が削り取られる」「足腰の強化にあまりつながらない」と言います。この発言に驚いた視聴者は多かったのではないでしょうか?

現在の野球界でプロもアマチュアも高校球児も「走り込み」をそれほどしないという考えが浸透してきています。

ここでは野球選手にとって適切な「走るトレーニング」をお伝えします。

日本プロ野球選手やメジャーリーガーも多く通うトレーニングジム「ドームアスリートハウス」のパフォーマンスコーチ・ゼネラルマネジャーとして最新のトレーニング理論を教える友岡和彦氏は

「走り込みは強靭な下半身作りにつながりますか?」

という問いにこう答えています。

「『強靱な下半身』の定義にもよりますが、それが『強く大きな筋力によって足腰がしっかり安定している状態』という意味なら誤っていると思います。

走り込みによって、いわゆる一般的な体力は上がります。代謝能力や持久力が上がって、疲れにくい体にはなる。

しかし『強く大きな筋力』は走り込みでは養われません。筋肉を肥大させ力を上げるには負荷をかけないといけませんからね。

『強く大きな筋力』は、いい意味で体を頑丈にして、パワーも向上させますが、走り込みだけでは筋力は強くならないのです」

引用元:VICTORY

「パワー」には2種類あり

  1. 重いものを持ち上げるパワー
  2. 軽いものを素早く上げるパワー

筋肉には「速筋」と「遅筋」があり、このパワーは主に「速筋」から生み出されます。

「速筋」は瞬間的に大きな力が出せる筋肉で短距離走やウエイトリフティングなどの瞬発的なパワーが必要な競技で活躍します。一般的な筋トレで鍛えるのは主にこの「速筋」です。

「遅筋」は有酸素運動、例えば長距離走やウォーキングで使われる筋肉です。基本的には筋肉は大きくなりにくく、一般的な筋トレで鍛える筋肉ではありません。

野球ではピッチングやバッティング、守備や走塁など瞬発的なパワーが要求されますので、断然「速筋」のほうが大切になります。

過度な長距離走・短距離走をする「走り込み」は関節や筋肉への負担が大きく、ケガのリスクも高くなり、野球選手に必要な「速筋」もほとんど鍛えられません。

あまり何も考えずに過度に長距離走をするだけでは「心肺能力の向上」「持久力がつく」「一般的な体力がつく」などの野球の上達にあまり関係のない効果しかありません。

長距離走では「遅筋」が優位に働き「速筋」の力が落ちますので、筋力もつきません。

また身体を大きくしたい野球選手にとって、「走り込み」はカロリー消費の観点からも”痩せ”につながりやすく、思ったように体重が増えないという悪い結果を生みかねません(>_<)

パワーとスピードが必要なアメフトの選手も筋力・パワー・馬力が落ちるので長距離走をほとんどしません。

ピッチングなど野球上達に役立つ「正しい走るトレーニング」とは?

ピッチングなど野球上達に役立つ「速筋」を鍛えるための「正しい走るトレーニング」について友岡氏はこう語っています。

「スプリント、すなわち短い距離を毎回自分の90%以上の力で走るといったトレーニングであれば可能性はあると思います。

つまり、中強度の走りですね。90%以上の力を毎回出すには、1本走ったらしっかり休んで体を回復させることが必要です。

100mのスプリントなら1時間で走れても5、6本程度でしょうね。陸上の短距離選手だって何十本も走ったりしません。

90%以上の力を出せない走りでは、速筋も使われず、トレーニングにならないからです」

引用元:VICTORY

短距離走を少ない休憩で何十本するのは、ケガのリスクが高くなりますし、何十本も走ると90%以上の力が出せず野球に役立つ「速筋」を鍛えることができません。

効率よく練習をするには休憩の時間がとても重要になります。

休憩の時間には足に影響のないエクササイズ(腹筋・バランストレーニング・肩の障害予防運動・股関節の動的ストレッチなど)をします。

そして筋肉が回復し心拍数が下がったら、次の1本を走るという感じで、効率よく走るトレーニングをすると効果がアップします!

ちなみにダルビッシュは「自分は2、3日に1回、30メートルダッシュを思い切り6本走るくらい。それ以上はやる必要がない」と言っていました^^

ピッチング向上に筋トレは必須

野球界では、野手だけではなくピッチャーにとっても「足の筋トレ」は、走ることよりも重要なトレーニングになっています。

高校~プロ野球でもピッチング向上に筋トレは当たり前になってきて、当然メジャーリーガーは100%筋トレしています。

ダルビッシュも上原浩治も大谷翔平も田中将大も菊池雄星もピッチング向上のために筋トレを積極的にしています。

友岡氏は筋トレは「ただ筋肉を大きくすればいいのではなく、”なにかの動き”に負荷をかけるというイメージが大事」と言います。

「ウェイト・トレーニングは、なにかの『動き』に負荷をかける、というイメージが大事です。

たとえばバーベルを使ったスクワットでも、ただやるのではなくどのタイミングで体のどこを使えば効率的に軽くその重さを上げられるか考えることが大切。

ただ筋肉を使うのではなく、重い物をどうやって楽に上げるか。ウェイト・トレーニングは、そういった感覚の学習でもあるんですよ。

悪い姿勢や力みのある変なフォームでやってしまうと、負荷も重く感じ、体のバランスも崩れ、使えない筋肉ができてしまいます」

「理想は同じ100キロでも、できるだけ最小限の力で、力みなく上げること。

ウェイト・トレーニングはただやればいいわけではなく、きちんと目的意識をもって、どうやって行うかが大事。

ただ重い物を持って筋肉を肥大させればいい、というのは誤りです。

肥大しただけの筋肉では使えないのですから、どういう動かし方をする筋肉なのかという感覚をもってやるのが大事です」

引用元:VICTORY

こういうことに注意して筋トレをすると、野球に役立つ筋肉を効率的に鍛えられます^^

まとめ

よいピッチングフォームで投げることは、ケガの予防や速い球を投げることにつながります。

そのためには「軸足」や「踏み込む前足」を効率的に使い、下半身主導で無駄のないスムーズな並進運動をして、その後の速い腰の回転によってリラックスされた腕が自然と振り出されるようなピッチングフォームが理想的です。

そして野球に役立つ足の鍛え方は、過度な短距離走・長距離走をする「走り込み」ではありません。

休憩をちゃんと取り、短距離走(長くてもポール間)を毎回90%以上の力を出して行うのが野球上達に役立つ「走るトレーニング」になります。

また「走るトレーニング」だけではなく「下半身の筋トレ」も必須です!

最後までご覧下さいましてありがとうございます。またよろしくお願いします^^

こちらもご覧下さい(^^)→簡単!正確なコントロールを身に付けるためのコツ・練習!