少ない球種で活躍するための4つの秘訣!ピッチャーにとって大事なこと

ピッチャーは球種が多いほうが有利な面が多くなります。球種は多ければ多いほど、狙い球が絞りにくくなるなど、打者にとって驚異となります。

でも野球界には少ない球種でも活躍しているピッチャーがいます。

「なぜ彼らは球種が少なくても活躍できるのか?」

この疑問について調べた内容を今回お伝えします。

少ない球種でも長い間活躍し続けているピッチャーをご紹介し、そしてそのピッチャーたちの共通点をお伝えします。

そこから「少ない球種でも活躍できる秘訣」や「ピッチャーとして成長するために大切なこと」が見えてきます(^^)

少ない球種でも活躍する最強ピッチャーたち

まず、少ない球種で長い間活躍し続けた最強ピッチャーをご紹介します。

少ない球種だけでも、たった数年の短い間だけ活躍をするピッチャーは多くいるかもしれません。

たった数年であれば「たまたま」「偶然」かもしれません。

今回ご紹介する最強ピッチャーは、最低でも19年間、最高で24年間(!)も活躍し続けたピッチャーです。

球種が多くても少なくても「10年以上活躍し続けるのが難しい」これがプロの世界ですよね。

そのなかでも少ない球種だけで10年以上活躍し続けるピッチャーは数えるほどしかいません。

そのピッチャーとは!?

マリアノ・リベラ

マリアノ・リベラ(1995~2013年)はメジャーNo.1クローザーの呼び声が高く、通算652セーブのメジャー歴代最多記録を持っています。

この数字(652セーブ)は今後破ることができない記録といわれています。

652セーブという記録は驚異的な数字で、達成しようと思えば30セーブを22年間、40セーブなら17年間、50セーブなら14年間続ける必要があります。

2017年に54セーブでサファテ投手(ソフトバンク)が12年ぶりにシーズン最多セーブ記録を更新しましたが、それを13年間続けなくては越えられない数字です。

リベラといえば”カットボール”。

リベラの代名詞である”カットボール”は、1997年にクローザーを任されるようになって数ヶ月後に”たまたま”投げられるようになったんです。

というか突然、ストレートのつもりで投げたボールがキャッチャーから見て右にスライドしてしまうように・・・つまり勝手にカットボールになり、その癖が直らなくなってしまったんです。

普通のストレートが投げられなくなったんです(笑)仕方なく、このボールを試合で試すこと・・・すると

これが試合でハマりました。打者は全然打てない!

リベラいわく「カットボールは神からの贈り物」この球種が投球の9割近くを占めます。

ほぼ1球種でメジャー歴代最多652セーブ、まさにレジェンド(伝説)(>_<)

上原浩治

巨人とメジャーで20年間(日本11年・メジャー9年)活躍し、2019年現在も現役を続ける上原浩治投手。

すごいのは日米通算134勝128セーブ104ホールドという記録(~2018年)。

日米通算で100勝100セーブ100ホールド(トリプル100)は日本人では誰も達成したことはありません。

このトリプル100は簡単に達成できるものではありません。先発・中継ぎ・抑えをすべてで長い間活躍し続けなければ無理な数字です。

上原投手といえば”ストレートとフォークのコンビネーション”。

上原投手の球種は投球の95%前後をストレートとフォークが占めます(ほんの数%だけカットやスライダーを投げる)。

このストレートとフォークだけで20年間も活躍し続けています。

なぜこれだけ長い間、ストレートとフォークだけで活躍できるかは、このあとを見ていただければ分かります。

フィル・ニークロ

若い人は知らない選手かもしれません。

この人すごいです(>_<)

フィル・ニークロといえば”ナックル”。

メジャー24年間48歳まで投げ続けました。

デビューは25歳と遅いんですが、1920年以降ではメジャー最多の5404,1投球回を投げる鉄腕です(^^)

まずこれを見て下さい(ニークロのすごい記録の数々)↓

  • 通算318勝
  • 40歳以降に121勝
  • 200イニング19回・300イニング4回
  • 二桁勝利19回・20勝以上3回
  • メジャー歴代10位の通算3342奪三振

ナックルを駆使し、25歳と遅いデビューでこれだけの成績を残しました。

ナックルで24年もの間活躍し続けました。恐れ入ります(>_<)

この3人のすごいところは「ベテランになってからも成績が落ちない」または「ベテランになってからのほうがのほうが成績が良い」んです!

普通は年齢を重ねるにつれて球威が落ちてきて、それを補うために球種を増やすピッチャーが多いなか、この3人は球種を増やしませんでした。

精度を究極まで高める

なぜこのピッチャーたちは少ない球種で、これだけ長い間活躍しつづけるのだと思いますか?

それは「自分の持つ球種の精度を究極まで高めた」からです。

そのためには、その球種についてメチャクチャ考えることが必要です。ただ「考える」んじゃなくて「メチャクチャ考える」んです。

ナックルボーラーのニークロいわく

上手な投げ方をよく尋ねられるが、もっとも大事なのは、全てをナックルにささげることだ。カーブもスライダーも忘れてナックル、ナックル・・・。

24時間考えるぐらいでなければ、ナックルボーラーにはなれない。試合中ずっと同じ球種を投げ続けるわけだからね。

引用元:サンスポ.com

「すべてをナックルに捧げる」

なんか「ナックル=恋人」みたいですね(^^)

リベラなら「カットボール」、上原投手なら「ストレートとフォーク」のことだけを常に考えていたと思います。

どうすればナックルだけで、カットボールだけで、ストレートとフォークだけで抑えられるのか?を考え続けるんです。

この3人を調べていると共通点が見えてきました。それは

  1. キレが良い
  2. コントロールが良い
  3. 同じピッチングフォームで投げる
  4. 実は球種が多い?

1つずつ説明したいと思います。

キレが良い

まず少ない球種で抑えようと思えば、一つ一つの球種のキレが良くなければなりませんよね。

変化球に関していえば「どれだけ」変化をするか?じゃなくて

「どこで」変化をするか?が大事です。

「どこで」変化するのが良いのかと言いますと、「打者の近く」です。

変化球は変化し始めるのが打者の近くであるほど「キレが良い」といわれます。打者の近くで大きく曲がれば最高ですが、曲がりが小さくても大丈夫です(^^)

打者の近くで大きく曲がることは良いことですが、早い段階で曲がり始めると、打者は打撃を始める前から「どんな変化をするのか?」が容易にわかりますので、対応しやすくなります。

最近メジャーで広まっている概念で「ピッチトンネル」という言葉が日本でも広まってきています。

“いろんな球種をピッチトンネルに通す”という考え方が「どんな球を投げれば打者を抑えやすくなるのか?」という疑問にヒントを与えてくれます。↓

ピッチトンネルとは、打者が打撃を開始する時刻に設定されたリングのようなもので、一般的にはホームベースの手前7m前後に位置している。

投手は複数の球種を投球するが、すべての球種がトンネルを通った場合、打者は球種を判断することが難しくその後の軌道を予測することも困難となる

引用元:BASEBALL GEEKS

つまり打者が「どんな球種が、どのコースに来るのか?」がギリギリ判断できるポイント(ピッチトンネルがある場所)まで、複数の球種が同じ軌道で来たら打つのが難しいってことです。

打撃を開始して(=ピッチトンネルを通って)から変化すりゃ、芯でとらえるのが難しくなるのは当たり前ですよね(^^;)

上原浩治のフォークはストレートと同じピッチトンネルを通るので、打者はストレートと見分けがつかず面白いようにフォークを空振りします。

リベラのカットボールが変化を始めるのは「打者から7m前後(打撃を開始するポイント)」どころか、わずか「10フィート(約3,048m)」です。

そこからストレートよりも20cm動くんです(>_<)

そりゃカットボールが来ると分かってても打てませんよね。

ニークロのナックルも途中まで同じ軌道で来て、キャッチャーさえどこに来るかわからないボールですから。

良い投手は、このようにフォーク・カット・ツーシーム・チェンジアップなどの球種を途中までストレートと同じ軌道で投げる(ストレートと同じピッチトンネルを通す)ことができるので、簡単には打てないのです。

ちなみに、スピードが遅いといわれるカーブやチェンジアップだけが緩急を使えるのではありません。

ストレートからしたら、他の球種はほとんど「ストレートよりも遅い」ので配球次第で緩急も使えます。

比較的スピードが速いといわれるフォークやスライダーなどもピッチトンネルに通せれば、ストレートに目が慣れた打者は「思ったよりもボールが来ない」ので、タイミングが合わずボールがミートポイントに来る前に振ってしまいます。

多彩な球種を操る日ハムの金子投手も「(カーブは別だが)変化球の変化は小さくても良い。変化球をいかに”ストレートに似せて”打ち取るか」を常に考えています。

コントロールが良い

リベラのカットボールはストレートと同じからいのスピードがあり、よく曲がりキレもすごいことで有名です。

しかし「速い」「キレがある」だけでは活躍を続けるのは困難です。それでは、なぜリベラは19年もの長い間活躍できたのか?

それは抜群の「制球力」があったからです。

カットボールを「ストライクゾーンの4隅にキッチリとコントロールできる」からです。

その抜群の制球力で「フロントドア」と「バックドア」を使いこなしていました。

右打者の内角のボールゾーンに投げ、打者が「危ない!?当たる!」とビックリして避けたら、そこから曲げてストライクゾーンに(これが「フロントドア」)。

また外角ストライクゾーンからボールゾーンに。

左打者には外角のボールゾーンに投げ、「ボールだな」と思ったら、そこから曲げてストライクゾーンに入れる(これが「バックドア」)。

逆に内角のストライクゾーンからボールゾーンに。

特に左打者に強く、左打者の内角に食い込むカッターでバットを折りまくっていました。

また、打たれやすい真ん中に投げることはほとんどありませんでした。

80~90%がカットボールなので打者はそのボールが来ると分かっていますが、バットの芯で捉えることができません。

またバットの芯を外すだけではなく、数多くの三振も奪っています。

カットボールを「コントロール良く投げられたから」こそ、19年間ほぼカットボールだけで抑えられたんですね(^^)

その制球力のすごさをリベラの投球を受けていたジョー・ジラルディー氏はこう語ります。

「球を受けた投手の中で、一番簡単だったよ。ボールをブロックしたり、ショートバウンドするのを考える必要は全くないんだ。

彼はほぼ狙ったところに投げられる。打席の反対側や上下に飛ぶ必要なんてない。」

引用元:Full Count

すごいスピード、かつ打者の手元で大きく曲がるカットボールを捕るのが「一番簡単」って、、、コントロールが良いからキャッチャーも捕りやすかったんですね(^^)

この制球力こそがリベラの「本当の凄さ」なんです(>_<)

また上原投手もコントロールが抜群で四球が少ないことで有名です。

2018年までで日本での通算与四球率1.20(日本歴代1位(1000投球回以上))、メジャーでも通算与四球率1.60です。

プロ野球選手が選ぶコントロールが良いピッチャーNo.1であり、日本No.1の呼び声が高い巨人の菅野智之でさえ1.72(~2018年)なので、上原浩治がいかにコントロールが優れているかが分かります。

上原投手が所属していたボストン・レッドソックスの監督ジョン・ファレル氏はこう言っています。

「コウジの制球力(氏は“command”という単語を使った)は、メジャーリーグでもトップ5に入るほど、繊細なものだ。安心して9回を任せることができる」

引用元:Number Web

command(コマンド)というのは野球用語で「”ストライクゾーンの中の狙ったスポット”にボールを投げる能力」のことです。

この能力がとても優れていたからこそ、ストレートとフォークだけでメジャーの強打者たちを抑えられたのです。

フォークピッチャーはワンバウンドの暴投が多いですが、上原はフォークピッチャーでありながら暴投が非常に少なく20年間でたったの19個だけ。

先発で投げていた8年間でもたったの8個。暴投が0個のシーズンも3回ありました(>_<)

ちなみにフォークピッチャーの佐々木主浩氏(NPB252セーブ・MLB129セーブ)は50個。

多くの奪三振の記録を持つ野茂英雄氏に至っては、なんと160個です(笑)

比べ物になりません。

一方フィル・ニークロは四球が多いので、コントロールが悪いと思われがちです。

しかし、ナックルボールは「変化がすごくてキャッチャーがまともに捕れない」「本人もどこに曲がるか分からない」くらいコントロールするのが難しいといわれています。

その”コントロールしにくいナックルボール”を駆使して、ほとんどの投手が達成することのできない300勝(ニークロは318勝!)もの勝ち星をあげるピッチャーがコントロールが悪いとは思いません。

同じピッチングフォームで投げる

この3人に限ったことではありませんが、良いピッチャーというのはどの球種でも同じピッチングフォームで投げることができます。

「同じフォームで投げる」というのは基本ですよね。

これをされると、打者はフォームからどんな球種が投げられるかが分かりません。

ピッチングフォームは腕の振りだけではなく、構えたときの腕(肘や手首など)の角度など、クセを無くし、打者に球種が見破られないようにしなければなりません。

優秀な選手や指導者は、常にピッチャーのクセを分析していて、わずかな違いでピッチャーのクセを見破ることができるといいます。

ご紹介した3投手は他の球種でもフォームがほぼ変わらず、フォームから球種を見破られることはありません。

特に球種が少ない投手は、球種が見破られると打たれる可能性がグンと高まります。

どの球種が来るか分かっていれば、打たれるのがプロの世界です。

上原投手はスポーツ番組で特集されていましたが、ストレートとフォークのフォームの映像を重ねて見てもほぼ一致していました。

リベラもほとんどがカットですが、ストレートと腕の振りの誤差はわずかで、打者も見分けることができませんでした。

ニークロは同じ腕の振りから、どこに行くかわからないナックルを投げるので、打つのは容易ではありません。

実は球種が多い?

「実は球種が多い?」

この3人は「球種が少ないんじゃないんかい!?」

というツッコミが返ってきそうですが(笑)

この3人は実は「球種が多いピッチャーと同じ」なんです。

というのも、上原投手は同じフォークでもミリ単位で握りを変えて数種類の変化をさせることができるからです。

フォークボールは、落差の大きいもの、小さいもの、シュート回転させて右に落とすもの、スライダー回転させて左に落とすものなど、数種類のフォークを投げ分ける

引用元:上原浩治-Wikipedia

同じようにリベラのカットも数種類の変化をします。

落ちるような変化をしたり、横にすべるような変化をしたり、また浮き上がりながら変化しているようにも見えたり、いろいろな変化をします。これはリベラ投手が意図的にリリースの瞬間の力加減を変えているからです。

引用元:マリアノ・リベラ投手カットボールの握り方・投げ方

ニークロのナックルもキャッチャーがまともに捕れないくらい毎回違う変化をしていました。

だから、少ない球種で成功しようと思えば「1つ球種で様々な変化をさせる(意図的に)」ことが重要になります。

ほぼストレートとフォークだけでメジャーでも活躍し日米通算381セーブ(日本人史上初の通算300セーブ)を記録した大魔人”佐々木主浩”氏もフォークを自在に操っていました。

フォーシームの握りで速球を投げるように手首を固定せずスナップを利かせて回転をかけることで投げる140km/h前後のフォークと、

手首を固定しほぼ無回転のチェンジアップ気味のフォークを投げ、縫い目にかける指を調節することで軌道を左右に振り分けることもできた

引用元:佐々木主浩-Wikipedia

高校・大学と今なお誰にも破られていない多くの記録を持ち、プロでも大活躍をした江川卓氏の球種は「ストレートとカーブ」だけでした。

しかし彼は、ストレートの球速を変えたり、カーブもカウント整える”小さい変化”と三振をとるための”大きな変化”を投げ分けていました。

すごい変化球でも、一種類の変化だけでは打者は慣れていきます。

そのため少ない球種で活躍するには、握りや力加減などを工夫して1つの球種でも様々な変化をさせることが有効です。

ちなみに上原投手の場合、意図的にピッチングフォームにも緩急をつけて打者を翻弄しています。

ストレートと数種類のフォークがあって、さらにピッチングフォームの緩急があれば、かなり多くの球種を持っているのと同じですよね(笑)

まとめ

少ない球種で19~24年間も活躍し続けるピッチャー(上原浩治・リベラ・ニークロ)の共通点は以下の4つです。

  1. キレが良い(変化するタイミングが遅い)
  2. コントロールが良い
  3. 同じピッチングフォームで投げる
  4. 1つの球種で様々な変化をさせる

これが「少ない球種で活躍する秘訣」です。

最後の”1つの球種で様々な変化をさせる”というのはこの3人の大きな特徴かも知れません。

というか、上の3つは「もともと知ってるわ!」って声が聞こえてきそうですが(笑)これがなければ使える球種として完成されたとは言えません。

逆に

  1. キレがない(変化するタイミングが早い)
  2. コントロールが悪い(できない)
  3. 球種が分かるピッチングフォーム

なら、打たれる可能性が高くなるのは当たり前ですよね。球種がいくら多くても、これなら通用しません(>_<)

最後までご覧いただき、ありがとうございます(^^)またよろしくお願いします(^^)