今回は、ピッチングでの体重移動のコツや練習をお伝えします。
そして体重移動のときに非常に重要な「肩のタテ・ヨコ回転」を身に付けるコツもお伝えします。
また「肩の開きが早い」ということで悩んでいる人も意外と多いといいます。
(注)この記事での「肩の開き」というのは「”グローブ側”の肩の開き」のことです。
「肩の開きが早い」というのは、ピッチングにとって全く良い事がありません。
実は、この「肩の開きが早い」というのは、体重移動と大きな関係があります。
体重移動のコツが分かって、うまくできるようになれば「肩の開きが早い」というのは案外アッサリと解消されます(^^)
プロ野球やメジャーリーグのピッチャーも実践している体重移動のコツや練習は必見です。
ピッチングは体重移動がとても重要で、ピッチングの良し悪しを決定するといっても過言ではありません。
体重移動が効率よくできるようになると、そんなに力を入れていないのに、驚くようなピッチングができます(^^)
前回はピッチングの体重移動で股関節をうまく使うには、どのようにすれば良いかをお伝えしました。気になる方は前回の記事をご覧下さい(^^)
「正しい体重移動」や「肩のタテ・ヨコ回転」を身に付けると、楽に速いボールが投げられるようになりますので、多くの球数を投げても疲れにくくなります。

ピッチングで体重移動がうまくいくと”腕は自然と勝手に振られる”
『ケガをしないピッチングフォーム』=『速い球を投げるピッチングフォーム』=『コントロールの良いピッチングフォーム』といえると思います。
体重移動がうまくできた効率のいいピッチングフォームは『ケガ予防・球速アップ・コントロール改善』になります。
ピッチャーは肩や肘をケガすることが多く、いかに肩や肘に負担をかけないようにするかが大切です。
それには、肩や肘よりも強く負荷に耐えられる股関節など下半身をしっかりと使う必要があります。
ピッチングとは「肩や腕に力を入れて、いかに強く振るかだ!」というイメージを持っている人もいます。
しかし、それよりも股関節など下半身をいかに効果的に使って「肩や腕の力を抜いて、いかに強く腕を振らないか」が大切です。
つまり「意識して腕を強く振る」のではなく、股関節などの下半身を使って腰・肩が回転、そして「自然と勝手に腕が振られる」というイメージです。
MAX158キロの菊池雄星も、股関節・体幹と体の軸を意識して「腕を振るのではなく、体に巻きついてくるイメージ」という表現をしていました。
腕は意識して振るものではなく、ちゃんと腰や肩が回転すれば、意識しなくてもリラックスした状態で自然と勝手に振られるのです(^^)
肩のタテ回転とヨコ回転
ピッチングとは
いかに体が前に動く直線運動を、ボールを投げる側の肩の速い縦回転、横回転に変換するかです。
引用元:ダルビッシュ IN MLB
肩のタテ・ヨコ回転は、簡単に説明すると図のようになります(実際はもっと複雑ですが、分かりやすい図にしています)。

ピッチングは、体が前方向(ホームベース方向)へ体重移動するときに、前方への直線運動エネルギーが生まれます。
その後、この直線運動エネルギーを腰や肩の回転運動(タテ・ヨコ)に変えて、いかに多くのエネルギーをボールに伝えるかが重要です。
このときの股関節などの下半身の使い方がとても大切で、下半身がうまく使えるかどうかで腰や肩の回転速度が大きく変わります。
ピッチャーでもタテ・ヨコ回転のどちらを主体にするかでピッチングフォームも大きく変わります。
選手により、縦回転が主体の投手(ノーラン・ライアン、ジャイアンツのティム・リンスカム、野茂英雄)もいれば、
横回転が主体の投手(ランディ・ジョンソン、ウォルター・ジョンソン、クレイグ・キンブレル、メジャーでの上原浩治)、
その中間(多くの投手がこれに相当)と大リーグの投手は個性的で千差万別です。
引用元:ダルビッシュ IN MLB
体重移動のときに、上半身が前に倒れるとタテ回転が起こります。
そして体重移動のときに、地面と平行に骨盤が回転するとヨコ回転が起こります。
これらの回転がしっかりとできているほど、ピッチングには有利になります。
では、しっかりとした肩のタテ・ヨコ回転を身に付けるコツをお伝えします。このコツ分かれば、ピッチングが劇的に変わります。
ピッチングの体重移動はシンプルに
ピッチングの体重移動は下半身の動きが大切で、特に股関節の動きが重要です。
しかし前回の記事でも書きましたが、ピッチングで股関節ばかりを意識してしまうと、体重移動がうまくできません。
なぜなら人間というのは、意識がどこか一点ばかりに集中してしまうと、どうしても筋肉の緊張を生み出してしまいます。
そうなると体がうまく動かなくなり、自分の持っている能力をすべて出せなくなります。
今でこそ160キロ近いストレートを投げる菊池雄星も、プロ入りして数年間は「◯◯をこうしよう」「◯◯をああしよう」と細かく考えすぎていました。
細かく考えすぎた結果、思ったように体が動かずピッチングフォームが安定しないので、持っている能力を出せないでいました。
菊地投手は、その時期のことをこう言っていました。
「意識するということは、筋肉が働いちゃうということなので。
『腕を上げよう』とか『骨盤をこうしよう』と意識することで、本来動かしたい瞬間よりも一瞬早く動いてしまったり、硬くなってしまったりするんです」
引用元:web Sportiva
今は、細かく局所を意識するのではなく、目には見えないですが、おおまかに股関節・体幹と体の『軸』を考えていると言います。
「頭が突っ込んでいる」「頭を振ってしまっている」と『軸』が崩れると、菊地投手自身は分析していてます。
菊地投手はピッチングフォームに関しては、今は何も考えていません。
以前は、力を入れたらどこにボールがいくかわからなくて怖かったのですが、自分の確固たる『軸』を見つけたことで調子の良し悪し関係なく微調整ができ、思い切り投げられるようになりました。
野球選手に限らず、スポーツ選手にとって「◯◯をこうしよう」「◯◯をああしよう」などの『思考(考えること)』は、動きが悪くなる(鈍くなる)という結果を招いてしまう可能性があります。
そのため、体重移動のときに股関節を意識しないようにして股関節を効率よく使うには、まず始めに「首を上に伸ばして、両肩を下ろす動作」で背中の筋肉をリラックスさせる必要があります。
背中の筋肉がリラックスすると、体重移動のときに股関節などの下半身がうまく使えるようになります。
桑田真澄氏は、ピッチングは難しく考えずにシンプルにと言っています。
桑田氏はピッチャーとしては小柄ですが、小さな体を大きく使いダイナミックかつ理想的なピッチングフォームで巨人のエースとして活躍しました。
桑田氏といえば高校一年夏からエースとして甲子園5回連続出場。
しかも球種はストレートとカーブだけ(!)で甲子園出場5回のうち優勝2回、準優勝2回、ベスト4を1回で甲子園通算最多20勝した伝説のピッチャーです。
プロ入り後も大活躍。MAX153キロでコントロールも抜群。当時の巨人を支え数々のタイトルを獲得。
しかし20代後半の絶頂期のとき、守備で右肘を強打し靭帯断裂の大ケガ。その後もそのケガのせいで足を痛めたりするなど、思うようなピッチングができませんでした。
それがなければ200勝は確実といわれていました(それでも通算173勝はすごいです!)。
引退後、早稲田大学でスポーツ医学を学ぶなど頭脳派。テレビや講演会などでこれまでの野球界の常識をぶったぎり、次々と正しい教えを広めています。
理想的なピッチングフォーム(引退後も140キロ近い球速を投げています)と引退後も野球に真面目に取り組む姿勢もあり、彼を理想像とするプロスポーツ選手もたくさんいます。
桑田氏は体重移動のコツを「◯◯を下げる」「◯◯に第2の目を持つ」と言っています。
これらはシンプルで、肩のタテ・ヨコ回転を身に付けるコツにもなっていて、また即効性もあります。
テレビ番組で桑田氏の指導を受けた子供たちは、すぐに球威が上がりコントロールもよくなりました。
同じ力を使っても、これらを意識することでスピード・コントロールが大きく向上します。
「◯◯を下げる」「◯◯に第2の目を持つ」の◯◯とはなんでしょう?
MAX158キロ菊池雄星から学ぶ体重移動のコツ(タテ回転)
菊池雄星といえば、メジャーも注目する日本一の左腕。最速158キロで、160キロを超えるのは時間の問題でしょう(^^)
「右打者のインコースに食い込むストレートは破壊的。さらにハードスライダーは往年のランディ・ジョンソンを思い出す。今年のNPBでは圧倒的なナンバーワンスターター(先発投手)」(ナ・リーグ球団スカウト)
引用元:東スポWeb
とメジャーの評価もどんどん高くなってきています。
高校時代154キロをマークし、2009年なんとドラフトで”6球団から一位指名(!)”を受け、くじ引きにより西武へ入団しました。
しかし、入団してからは思うようにピッチングフォームが安定せず、度重なる左肩のケガに悩まされコントロールにも苦しみ、なかなか結果が出せずにいました。
そのため高校時代MAX154キロでしたが、プロ入り後はどんなに頑張っても147~148キロしかで出ませんでした(>_<)
転機は2014年オフ。土肥投手コーチとの出会いが菊地投手をどん底から救いました。
土肥コーチから「160キロを目指そう!」と言われ、右足の上げ方から体重移動での股関節の動かし方・腕の位置など、ピッチングフォームを一から作り直しました。
菊地投手が覚醒したのは”あるアドバイス”をもらってからです。
“あるアドバイス”のおかげで、どれだけ頑張っても147~148キロしか出なかったのに、その年にいきなり157キロを記録!!
どんどんピッチングフォームが良くなり、ピッチングフォームが安定するようになってきました。
次の年の2016年には、自身初めての二桁勝利を達成。
2017年には、日本人左腕史上最高となる158キロを記録しました。16勝、防御率1,97はリーグトップ。奪三振数は楽天の則本投手に抜かれはしましたが、217奪三振と堂々の成績(^^)
なぜプロ入り後に球速が落ちたのでしょう?また、それをどのようにしてMAX158キロまで球速を上げられたのでしょうか?
「左肩を下げる」ことで大幅に球速アップ
日本人左腕史上最高158キロを誇る菊池投手はインタビューで「速い球を投げるにはどうすればいい?」と聞かれたとき、こう答えました。
当然、多くの要素が絡み合ってのことですが、土肥コーチが就任されたとき(2014年オフ)、「左肩を下げろ」とアドバイスされたことが印象的でした。
引用元:週刊ベースボール
これは、今までの野球界の常識を覆すものでした。
今でも多くの指導者が、ピッチングで体重移動のときに「投げる方の肩を下げるな。両肩を平行にしろ!」「肘は下げたらダメだ。肘を上げろ!」と指導しています。
実際にプロに入っても両肩を平行にしている選手も多いといいます。
2018年から楽天の一軍投手コーチに就任する佐藤義則コーチは、この事に関して警告を鳴らしています!
佐藤コーチの指導には定評があり、2009年楽天に佐藤コーチが就任した際、ダルビッシュがマー君(田中将大)に「ヨシさん(佐藤コーチ)の言うことは間違いない!」と伝えたといいます。
あのダルビッシュにこう言わせるなんて、佐藤コーチはすごい(>_<)!
長所を消すことなく、一人一人に適したピッチングフォームを作り上げ、ダルビッシュや田中将大を球界のエースに育て上げました。
星野仙一氏(監督としてリーグ優勝4回・日本一1回)に『日本一の投手コーチ』と言わしめました。
投手コーチとして支えた4球団(阪神・日本ハム・楽天・ソフトバンク)を優勝させ、優勝請負人といわれています。
その佐藤コーチはこう語っています。
「最近多い、肩を下げないピッチャーは腰から出ていく形がうまく作れないんだよね。
それは、軸足の股関節をうまく使えない、下半身にタメをつくりながら前に出ていけない、というところにつながる。
だから、頭がどうしても突っ込みやすいフォームになっちゃう。頭が突っ込む若いピッチャーが多いのはそこが原因になってる気がする」
引用元:gooニュース週刊野球太郎
つまり「投げる側の肩を下げない選手は、体重移動で大切な『腰から出ていく形(ヒップファースト)』ができなくなり、その結果、股関節(軸足)がうまく使えず、ピッチングフォームが崩れてしまう」と言っています。
メジャーではノーランライアン、ロジャー・クレメンス、マリアーノ・リベラ、上原浩治など。
日本では金田正一、江夏豊、鈴木啓示、江川卓、佐々木主浩、野茂英雄、工藤公康、黒田博樹、桑田真澄、岩瀬仁紀などの名投手たちもみんな投げる側の肩を下げています。
今の子供たちは、知らない選手ばかりかも知れません(お父さん、おじいちゃんはよく知っていると思います)が、すごいピッチャーばかりですよ(^^)
現在メジャーでは世界最速を誇るチャップマン、マックスシャーザー、クレイトンカーショー、ジャスティンバーランダー。日本でも松井裕樹、武田翔太、則本昂大、岸孝之、サファテ、メッセンジャーなどもそうです。
実は・・・あのイチローも右肩を下げてからの投げています。イチローは世界一キレイな送球”レーザービーム”で多くのランナーをアウトにし、日米通算17年連続でゴールデングラブ賞に輝いています!
菊地自身も高校時代154キロを投げていたとにも無意識でしたが、体重移動のときに一度投げる側の左肩を下げるピッチングフォームでした。
しかし、プロ1年目に左肩を故障していまい、恐怖心から左肩をすぐに上げてしまうようになっていました。土肥コーチは、それを見抜いていました。
土肥コーチは「肩を下げる」理由をこう考えています。
投げるほうの肩を下げからこそリリースポイントまでの距離を長くと取ることができるし、それだけの時間を体重移動に使うからこそ、腕を加速することができる。
引用元:プロ野球プレイボーイ
実は、菊地投手も「肩を下げたほうが良い」というのは頭では分かっていたのですが、肩の故障でそれができずにいました。
加速のための距離を取ろうと肩を下げると、どうしても腕が遅れて出てくる感じになりますから、
右足が着地した瞬間、まだボールがトップの位置に来ていない。
そこから左腕を上げてこようとすると、肩に負担がかかる気がして怖いんです。だから脳が勝手に腕を上げたがっていたんでしょうね。
引用元:プロ野球プレイボーイ
「それでは速い球は投げられない」と思い、脳に「左肩は下げるもの」だと思い込ませるために、とにかくシャドウピッチングを何回も何回も繰り返し左肩を下げるピッチングフォームを作り上げていきました。
その効果は絶大でした。その動作のおかげでピッチングが大きく生まれ変わりストレートが147キロ→158キロにアップしました!
その効果を菊地投手はこう語っています。
左肩を下げると投げるまでに加速の距離が取れて、球に勢いがつきますから。
本当に目からうろこが落ちた思いでしたね。それを実践してから、実際に球のスピード、キレが変わってきました。
それに肩の入れ替えもきれいにできるので、カーブもしっかりと投げられるようになった副産物も。本当に、僕にとっては大きいことでしたね。
引用元:週刊ベースボール
副産物の”大きな縦のカーブ”も投げられるようになり、ピッチングの幅が広がりました。
菊地投手が最も憧れるピッチャーでもある桑田真澄氏も、テレビや著書で「肩を下げる」重要性を訴えています。
桑田氏は、ある試合の解説で良いピッチングしていた投手を次のように誉めていました。
「足を上げて、その後、一瞬左肩を下げる動作が入る。これが素晴らしい。
スリークォーター、もしくはオーバースローで投げるピッチャーは絶対にこの動作が必要。
なぜならば、肩を下げることによって上半身がタテに回転しやすくなるんです。
タテにしっかり回転できるということは、ボールにも回転を与えやすくなるので、伸びる球質のボールが生まれやすくなる。
一瞬肩を下げないと、体の回転が横回転になってしまうので、スピンがかかりにくくなってしまう」
引用元:gooニュース
桑田氏は「肩を下げる」メリットをいくつか挙げています。
- 体全体を使ったピッチングフォームができ、少ない力で球威のあるボールが投げられる
- 自然と踏み出す足側のお尻が前に出て、ヒップファーストになる
- グローブ側の腕が上がる形になるので、グローブを上から下に使って体をタテに回転させる動きがしやすくなり、グローブ側の腕も効率よく使えるようになる
- 回転数が多く、縦に鋭く割れる質のいいカーブが投げられる
- 縦の変化球が投げやすく、変化も鋭くなる
- 投げる側の肩が早い段階で前に出てこない(後ろに残る)ので、バッターからボールの出所が分かりにくくなる。
ということで、オーバースローやスリークォーターのピッチャーは試してみて下さい。ピッチングが大きく変わる可能性があります(^^)
肩のヨコ回転を身に付けるコツ
体重移動のときに、上半身を前に倒す、つまり肩のタテ回転ばかりに頼ったピッチングフォームは良くありません。
なぜなら、下半身のエネルギーを効率よく使えないからです。
下半身が使えず上半身ばかりに頼ったピッチングフォームになると、リラックスしなければならない肩や腕に力を入れて腕を振ってしまい、肩や肘に大きな負荷がかかりケガを招いてしまいます。
また「肩の開きが早い」原因にもなります。
プロ野球でも、下半身や股関節がうまく使えず骨盤の回転が不十分になり、下半身のエネルギーを効率よく使えていないため肩や肘を故障している選手がいます。
肩や肘の負担を減らすには、体重移動でしっかりと骨盤を回転させて、肩のヨコ回転を増大させる必要があります。
そのためには体重移動の際に「早いタイミングで回転を始める」ことが大切です。
体重移動を始めるときに「大きく上半身をひねる」
それを身に付けるには、足を上げたとき、または足を上げて体重移動を始めるときに、左右の股関節をしっかりと内旋させる(内側にひねる)ことが重要になります。
その後は、前方に体重移動していきながら股関節を外旋(外側にひねる)・外転(外側に広げる)ことで、骨盤が地面と平行に回り、それにつられて肩のヨコ回転が生まれます。
しかし「股関節を内旋させる意識」だと、どうしても足が緊張して力んでしまい、その後の体重移動がうまくいきません。
そうではなく、キャッチャーに背中が見えるくらい「上半身を大きくひねる意識」のほうが、自然と股関節を内旋させられます。
野茂英雄氏の「トルネード投法」を知っていますか?
野茂氏は、日本やメジャーで大活躍した名投手です。野茂氏といえば、バッターから背中が全部見えるくらい上半身を大きくひねってから投げる独特のピッチングフォーム「トルネード投法」です。
そこから放たれるストレートとフォーク中心のピッチングで日本プロ野球・メジャーリーグで数多くの三振を奪い、さまざまな奪三振の記録を持っています。
- 最多奪三振:6回(日本4回、メジャー2回)
- 二桁奪三振:70回( パ・リーグ記録)
- シーズン二桁奪三振:21回 (日本プロ野球記録)
- シーズン奪三振率:10.99(パ・リーグ記録(規定投球回数以上))
当時は日本でもメジャーでも「トルネード投法」が流行り、モノマネをしている人が多かったですよね(笑)
ヨコ回転を生み出すのに「トルネード投法」はとても効果的なんです。
でもここまでひねって投げられるのは、安定した下半身を持っている野茂氏ならではです。なかなかここまでひねれませんよね(^^;
体重移動の始めに「上半身をひねる」と楽に腰が回る回る
上げた足が地面に着地するまで骨盤を回さず、横に向いた上半身をキャッチャー方向に戻すようなピッチングフォームでは、腰が楽にスムーズに回らないため下半身の力を効率よく利用できません。
上げた足が着地するまでに『腰がスムーズに回るための準備』が必要です。
詳しく説明しますと・・・
重い物を回転させるには、時間がかかります。腰をスムーズに回すには、なるべく早いうちから骨盤を回すことが重要です。
回転を始めるタイミングは早いほうが良いので、前足が着地する直前よりも、なるべく早い段階で腰を回転させ始めるほうが、ピッチングがスムーズに楽に行えます。
止まっている物を回転させるには力が必要で、とくに動き始めには大きな力が必要です。
つまり、回転し始めのときは大きな力がいるので、足を上げたときから
『キャッチャーに背中が見えるくらい上半身をひねり、早いタイミングで腰の回転を始める』
ほうが、足を踏み出すまでに腰が回っていますので、そのあとの回転をスムーズに加速させることができます。
早い段階で腰が回り始めると、その後は腰が楽にスムーズに回り、それにつられて肩のヨコ回転も自然と速くなります。
「早い肩の開き」も抑えられ、ボールの出所が分かりにくくなる利点も
桑田氏も、足を上げたとき「上半身をひねる」ことを推奨しています。
ピッチングで良くないとされる「肩の開きが早い」という悩みを解消するために有効だと言っています。
テレビ番組で桑田氏は、少年野球の子供達に次のように指導していました。
「左(右投手の場合)の肩甲骨に第2の目を持つ」
右ピッチャーの左の肩甲骨に”目の玉のシール”を貼って、足を上げたときに上半身をひねり「左の肩甲骨の目」でキャッチャーを見るように指導していました。
このようにすると「肩の開きが早い」という悩みを解消でき、バッターからボールが出所が分かりにくくなるといいます。
桑田氏いわく、
「ピッチャーは左(左ピッチャーなら右)の肩甲骨に目を持たなければならない。
僕はずっとキャッチャーを見ないで、一度キャッチャーから目を切る(見ない)んです。
キャッチャーをずっと見ていると、頭の位置が前に出てしまい、肩の開きが早くなり、バッターからボールが早く見えてしまう。
そこから150キロ投げても速くないんです。だから肩甲骨に目があると思って、この目で見ておくんです。」
実際に、指導を受けた子供たちは肩甲骨の目でキャッチャーを見るようになったことで「早い肩の開き」が解消され、バッターにボールの出所が見えにくいピッチングフォームに変わりました。
踏み出した足は「軽く曲げる」程度で着地する
体重移動の最後で踏み出した「膝の角度は浅く」することが大切です。
その後「膝を伸ばす」ようにします。
そうすることで、前に行く下半身(右ピッチャーなら左腰の辺り)にブレーキをかけて、前に行かないようにしっかりと止めるのです。
踏み出した足でブレーキをかけることで、踏み出した足を軸に、後ろの腰が前にいき、楽に骨盤がクルッと回り、上半身も前に倒れやすくなります。
車が急ブレーキをかけると、人が前に飛び出すのと一緒です。
メジャー最強の守護神クレイグキンブレルも膝を軽く曲げて着地し、その後に膝を伸ばしています。
クレイグキンブレルは、前足でしっかりとブレーキをかけ、前足が着地してからリリースするまで腰の位置は全く変わりません。
クレイグキンブレルは、180センチとメジャーでは小柄ながら160キロ以上のビックリするくらい伸びるストレートを投げ、毎年投球回以上の三振を奪い、2017年は投球回69,0で126奪三振!単純計算ですが1イニングに2三振を奪っています!
コツは、着地した足を曲げすぎず「軽く曲げる」程度にします。
曲げすぎると前にいく体を受け止められず、しっかりとブレーキがかけられないので、タテ・ヨコ回転ともに不十分になります。
踏み出した足の角度は地面と垂直、または一塁側(右投手の場合)にやや傾くと回転しやすくなる
踏み出した足の角度は、キャッチャー方向から見て、「地面と垂直」または右投手なら「一塁側にやや傾く」のが理想です。
これは、”着地した足の軸上に体の重心がくる”ような形になります。
回転軸(着地した足)の上に重心がくるときが「回転速度が最も大きく」なります。
また右投手の場合は一塁側(左投手は三塁側)への傾きが大きいほど、一塁側(左投手は三塁側)に回転しやすくなります。
一塁側(左投手なら三塁側)に傾くのは、特にメジャーリーグのピッチャーに多く見られます(チャップマン・ジャスティンバーランダー・クレイグキンブレル・クレイトンカーショーなど)。
回転しやすくなるということは、もちろん肩のヨコ回転も速くなります。
「早い体の開き」を抑える方法
ピッチングの体重移動では「早い段階で体の開く」ことは良くないというのは、皆さんよく知っていると思います。
「早い体の開き」を抑える方法を右投手でご説明します。
体重移動の始めに、グローブ側の腕や肩を三塁~本塁の間くらいの方向に向ける(つき出す)ようにします。
そうすると自然と背中はキャッチャー方向に向きますね。
左投手なら一塁~本塁の間の方向にグローブ側の腕や肩を向けて下さい。
すぐに本塁方向に向けてしまうと、早い段階で体が開いてしまいますので注意してください。
そして、上げた前足が着地する寸前まで、前足の膝や爪先を三塁~本塁の間の方向に向けておき、早い段階で開かないようにします。
すると自然と「早い体の開き」が抑えられます。
和田毅から学ぶ重移動のコツ(ヨコ回転)
和田毅はメジャーに渡り、ソフトバンクに2016年に戻ってきました。35歳とベテランの域に達していますが、衰え知らずのピッチングを続けています。
いきなり最多勝(!)を獲得するなどボールのキレや投球術は昔と変わりません。多くの解説者や野球選手も絶賛する左腕です。
特にストレートは一級品で、キレがすごく「パ・リーグ投手の球種別空振り率」のストレート部門で第一位!メジャーでもカブス移籍後にストレート空振り率トップクラスでした!
ストレートの球速はプロでも遅い方で、140キロ前後で130キロ台を計測することも多いのですが、西武・菊池雄星(MAX158キロ)や楽天・則本昂大(MAX158キロ)など日本を代表する速球投手をも上回る空振り率を叩き出します。
高校時代はあまり知られていませんでしたが、大学でのピッチングフォーム改造により大きく飛躍しました。
江川卓氏の持つ奪三振記録(東京六大学野球)を更新して、通算476奪三振まで記録を伸ばし、当時「早稲田のドクターK」と呼ばれました。
プロ入り後も安定したピッチングを続け、8度の二桁勝利のほか、最多勝・最高勝率・新人王・ベストナイン・MVPなど様々なタイトルを獲得する日本を代表するピッチャーです。
和田投手のストレートは、回転数がプロ平均値よりも多く、初速と終速の差がとても少ないためボールのキレ・伸びがすごく、バッターは球速以上に感じるといいます。
股関節など下半身を効率的に使った体重移動で、そのピッチングフォームを理想としている選手も多く、アドバイスを求める若手も多いといいます。
学生トレーナー土橋恵秀氏とのピッチングフォーム改造
1999年に早稲田大学野球部にトレーナーとしての入部した土橋恵秀トレーナー(現在は専属トレーナー)との運命的な出会いによって急成長を遂げました。
入学当時の球速は速くても125キロ位しかなく、とても悩んでいました。
「どうすれば速い球をなげられるのか?」
と、土橋トレーナーに相談したのが始まりでした。
ケガをした理由は、体重移動がうまくできていなかったから
和田投手は、高校時代に上腕三頭筋(腕の後ろ側の筋・力こぶの逆側)を断裂させていた事があり、当時はピッチングをすると腰が張り肘にも違和感がありました。
土橋トレーナーが考える『上腕三頭筋断裂した原因』は、
「リリースする方向へ腕がうまく伸びずに、体幹から離れていくように遠回りしている。それを投げたい方向に修正する為に上腕三頭筋に大きな負担がかかっている」
また『腰の張りの原因』は、
「体重移動のときに骨盤がうまくに回転しないで、それを補うために肩が大きく回転し、肩や腰が必要以上にねじれすぎ、大きなストレスが腕や腰にかかっている」
ちゃんと『リリースする方向に腕が伸ばされる』と、上腕三頭筋やその他の肩・腕の筋肉に必要以上の負担がかからないし、『骨盤の自然な回転』ができれば、腰周りの筋肉に大きなストレスがかかりません。
上腕三頭筋のケガと腰の張りは両方とも「肩の開きが早い」という同じ原因からきていると考えました。
「肩の開きが早い」というのは、和田投手の場合「バランスの良い回転運動」ができておらず、その原因は「体重移動がうまくできていない」からでした。
前足を踏み込んだときに、前足にしっかりと体重移動できていたら良かったのですが、体重移動がうまくできず後ろ足に体重が残っていました。
そうすると、どうなるのでしょうか?
体重移動がうまくいかず、後ろ足に体重が残ったままの状態からリリースに向かう事になると、上半身の反動や動きでカバーしようと力んでしまいます。
土橋トレーナーは、その結果として「肩の開きが早い」ということが起こってしまうと考えました。
自然な体重移動が大切
力んでしまった不自然な動きは、必ずどこかに必要以上な負担をかけてしまいケガにつながります。
土橋トレーナーは「速い球を投げるためではなく、まずはケガをしないように無理のない自然な身体の使い方」だけを考えピッチングフォームを改善していきました。
ピッチングフォーム改善のために一番最初に意識させたことは、体重移動のときに「無駄な力を入れないこと」でした。
必要以上に力を入れず、自然にバランスを保てるようにすること。
身体は、多くの筋肉がバランスを保つようにして姿勢を維持しています。
重心の位置が良いところにあると、無駄な力をいれなくても自然とバランスがとれ姿勢を維持できます。
ピッチングでは「前足を上げる→軸足で立つ→体重移動」に移ります。
その際にできる限り無駄な力が入らない自然で楽な姿勢、バランスをとりやすいポジションを見つけるイメージです。
腰の回転は「後ろ腰を前にぶつける」イメージ
土橋トレーナーは、前足が地面に着地した瞬間からの腰の回転を「背骨を軸として回る」イメージでは上半身の反動を使ってしまう恐れがあり良くないと言います。
そうではなく「後ろ腰(投げる腕側の腰)を前方にぶつける」ようなイメージにすることを伝えました。
このようにイメージすることで「前足を軸とするような形で回る」ようになり、上半身が自然とリラックスした状態で腰が回ります。
上半身がリラックスしていると、その後「一瞬遅れて肩が回転」し始めます。
そうすると「体幹が自然にひねられる」ため、より強く、より速く肩を回転させることになります。
腰の回転が鋭いほど、肩を強く速く回転させられるのですが、それを生み出すのが股関節です。
体重移動で足が着地した瞬間に「後ろ腰を前方へぶつける」イメージで股関節が動かされると、股関節を鋭く使う感覚がわかりやすく、「体幹の自然なねじれ」も実感できるので最適だと土橋トレーナーは考えます。
またグローブ側の腕の使い方も重要です。
「前に出したグローブを後ろに引く」と「グローブ側の肩が開きが早い」原因にもなります。
グローブ側の腕の正しい使い方は、こちらをご覧下さい→簡単!正確なコントロールを身に付けるためのピッチングのコツ・練習!
「グローブ側の肘を引こうとせず、腰が回ったあとに肩が回る」イメージを持つことも和田投手に伝えました。
「中心軸感覚」ではなく「二軸感覚」
土橋トレーナーはピッチングの体重移動は「中心軸感覚」ではなく、自然と「二軸感覚」を指導していました。
- 中心軸感覚・・・背骨から上下に伸びる線を感覚的な軸とする
- 二軸感覚・・・左右の股関節(腰)から上下に伸びる線を感覚的な軸とする
背骨を軸とした「中心軸感覚」の回転では、踏み込んだときに、まだ体重が後ろ足に残りすぎてしまいます。
またグローブ側の肘を引きすぎてしまうと「中心軸感覚」の回転になり「肩の開きが早い」原因にもなります。
「二軸感覚」での体重移動とは?
左右の股関節から上下に伸びる線を感覚的な軸とする「二軸感覚」でピッチングするとは、どういうことでしょうか?
ここでは和田投手の話をしていますので、ピッチングの体重移動のときの「二軸感覚」を左ピッチャーで説明します。
まず始めに、足を上げます。ここでは軸足側、つまり左股関節側が軸になります。足を上げたとき(または前へ体重移動を始めるとき)左股関節側を軸に身体を後ろにひねります。
その後、足を下ろしていき、前方へ体重移動を始めます。ここでは、まだ左股関節側が軸になっています。
そして足が地面についた瞬間、ここで軸は前足側、つまり右股関節側の軸に入れ代わります。このときに和田投手は「後ろ腰を前方へぶつける」イメージで股関節を鋭く使います。
最後は、右股関節側を軸にフィニッシュを迎えます。
この「二軸感覚」での回転を身に付けた和田投手は腰が回ったあとに、自然と肩が回るようになり、また「肩の開きが早い」ということもなくなりました。
腕はリラックスした状態となり、肘は自然とキャッチャー方向に向くようになりました。
そのおかげで無理に腕に力を入れて振らなくてもよくなったので、上腕三頭筋の負担がかなり少なくなりました。そして無駄のない自然な体重移動で腰の負担も減り、腰の張りもなくなりました。
野球だけではなく、他のスポーツの向上にも「二軸感覚」はとても重要な要素で陸上競技やサッカーなどさまざまなスポーツに取り入れられています。
無駄のないスムーズな体重移動で短期間で球速アップ
和田投手は二人三脚でのピッチングフォームの改造も成功し、無駄のない自然な体重移動ができるようになりました。
体重移動で股関節を鋭く使いえるようになったので、自然と素早い腰や肩の回転が身に付き、それにより腕もリラックスした状態で自然と加速することができ、みるみるうちに球速がアップしていきました。
初めはケガをしないためのピッチングフォーム改造でしたが、うまく股関節を使えるようになったことで無駄のない体重移動ができるようになり、2ヵ月後には球速は129キロ→142キロになりました。
ランニングなども強化メニューしたわけでもなく、筋トレをしたわけでもありません。たった2ヶ月だけで13キロアップするほど筋力は上がりません。
ピッチングフォーム改造だけで、大幅に球速がアップしたんです。
また、スムーズで無駄のない体重移動ができるようになったことで、体への負担もかなり減りました。
疲れの少ないピッチングフォームになり試合後もほとんど肩や肘の張りを訴えなくなったといいます。
ピッチングフォーム改造で無理のない体重移動が身につき、和田投手は大きく生まれ変わりました(^^)
和田投手が大切にしている「二軸感覚」でのランニング
和田投手は「中心軸感覚」のピッチングから「二軸感覚」のピッチングに変わったことで、飛躍的に向上しました。
その「二軸感覚」の股関節の使い方をランニングにも自然と取り入れています。
「後ろ足で地面を強く蹴る」のではなく、ターンオーバーさせます。
和田投手がしている「二軸感覚」のランニングフォームは「左足が着地した瞬間に、左股関節を軸に右腰をグッと前に出す」
そして次は、逆に「右足が着地した瞬間に、右股関節を軸に左腰をグッと前に出す」これを繰り返します。
これはピッチングの体重移動で「後ろ腰を前方にぶつける」イメージに似ています。
そのため『二軸感覚のランニングフォーム』は、理想的な体重移動を数多く反復できる効果的・効率的な練習で、ピッチングにとって非常に大切な練習です。
和田投手は大学時代、とにかくよく走りました。このランニングフォームをするようになってからは、トレーナーが走る量を増やしても、本人はケロッとしていました。
実はこの『二軸感覚のランニングフォーム』は「走る」のにとても効率的で、最も速く走れるフォームといわれています(^^)
また「ピッチングのための走る練習」について詳しくは前回の記事に書いていますので、気になる方は今回の記事と一緒にご覧下さい。記事の一番下↓にリンクを貼っています^^
メディシンボールを両手で投げる
クレイグキンブレルは、ピッチングでの体重移動のために効果的な練習をしています。
この中でオススメの練習がメディシンボールを大きな動作で左右に叩きつける練習です。この練習は、体重移動やタテ・ヨコ回転を身に付けるのに最適です。
ダルビッシュもメディシンボールを使った練習をしています。
ダルビッシュの場合は、上から投げたり(タテ回転)、横から投げたり(ヨコ回転)、一歩踏み出して投げたり(タテ回転)しています。
この練習のコツとしては、
- 股関節・体幹の軸を意識する体重移動を意識して、下半身主導で下半身・体幹・上半身を連動させて投げる
- 腕の力はなるべく使わない
- 反動を使って体全体で投げる
- はじめは力を抜いて、投げる瞬間に力を込める
- 両手で投げる
ピッチングは本来、反動を使って体全体でするものです。力の伝達、つまり下半身→上半身→ボールと順番に伝えることが大切です。
その際、腕の力はなるべく使わずに、体重移動と下半身と体幹の力を使って投げることが大切です。
また、始めから終わりまで緊張して力を入れているより「力を抜いてリラックスした状態から、瞬間的に力を入れる」ほうが遥かにパワー&スピードがアップします。
特に重要なのは『股関節・体幹の軸を意識して、軸がブレない』ようにして下さい!
メディシンボールを投げる練習は、ピッチングに必要な動作が自然と身に付く練習になるので、とてもオススメです^^
また体全体を使うので”体幹・下半身・上半身”のすべてがバランスよく鍛えられます。
メディシンボールの重さは色々ありますが、重すぎても軽すぎてもダメです。
重ければ重いほど”パワーがつく”と思い、重いものを使う人もいますが、これには注意が必要です。
重すぎると、
- ずっと力が入ったままになり、力が抜けない
- 体への負担が大きすぎで、ケガをする
- トレーニング時に軸がブレやすくなり、フォームを崩す
また、軽すぎると体全体で投げられず、腕の力で投げてしまったりします。
肩や肘を痛めるので、間違っても片手では投げないで下さい(>_<)
まとめ
体重移動は、ピッチングの良し悪しを決定するといっても過言ではありません。
オーバースローやスリークォーターの投手は、足を上げてから一度「投げる側の肩を下げる」動作をすると、肩のタテ回転がスムーズに楽に行えます。
また、キャッチャーから背中が見えるくらい「上半身をひねる」(桑田氏は「左肩甲骨(右投手の場合)の目でキャッチャーを見る」と表現しています)ことで、骨盤がスムーズに楽に回り、肩のヨコ回転がスムーズに楽に行えます。
また、和田毅投手のように、足を踏み出す瞬間に「後ろ腰を前にぶつける」イメージで腰を回転させることも有効です。
またピッチングでの体重移動は、次のことにも注意してください。
- 踏み出した足は『軽く曲げる』程度で着地する
- 踏み出した足の角度は、キャッチャーから見て『地面と垂直、または一塁側(右投手の場合)にやや傾く』と回転しやすくなる
- 体重移動の始めに、グローブ側の腕や肩を三塁~本塁(左投手なら一塁~本塁)の間くらいの方向に向ける(つき出す)
- 上げた前足が着地する寸前まで、前足の膝や爪先を三塁~本塁(左投手なら一塁~本塁)の間くらいの方向に向けておく
体重移動の練習は、和田毅投手の「二軸感覚」でのランニングがオススメです。
野球上達に役立つランニングは短距離(長くても外野のポール間まで)が最適です(速筋を鍛えるため)。もちろんピッチング向上に役立つのも短距離走です^^
そしてメディシンボールを使った練習も体重移動のコツをつかむのに有効です。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。またよろしくお願い致します(^^)
こちらの記事もご覧下さい→ピッチング!あなたは体重移動で股関節をうまく使えていますか?