ピッチング!あなたは体重移動で股関節をうまく使えていますか?

ピッチングは、体重移動によるキャッチャー方向へのエネルギーを腰・肩の回転のエネルギーに変えて、それをボールを持った指先に伝えていきます。

ピッチングの体重移動では上半身・下半身・体幹の動きのなかで、特に股関節など下半身の動きは重要になります。

ここでは「ピッチングでの体重移動のとき、どのようにしたら股関節がうまく使えるようになるのか?」をお伝えします。

また股関節の特徴もお伝えします。股関節の特徴を知ると、ピッチングでの体重移動がよりうまくできるようになります(^^)

当たり前ですが、身長が高い・体重が重いほうが速いボールを投げるには有利です。

しかし身長が低かったり、体重が軽くて体格的に不利でも体重移動での股関節の使い方など、身体の使い方次第でとんでもないピッチングをするピッチャーもいます。

股関節をしっかり使えるようになると、体重移動がスムーズで無駄がなくなりピッチングフォームが安定し、球速アップ・コントロール向上・ケガ予防につながります。

股関節をの特徴を知ることがピッチング向上につながる

股関節の特徴を知ると、ピッチングの体重移動での股関節の使い方が理解しやすくピッチング向上につながります。

股関節の位置は、一般的に太ももの前面・そけい部辺りだと思われがちです。

しかし解剖学では「ヒップジョイント」といい、骨盤と大腿骨の間にできる「お尻側にある関節」なんです(場所はお尻のえくぼ辺り)。

走・攻・守など野球はもちろん他のスポーツの能力向上には欠かせない重要な関節で、「動きの質」を決定する関節といわれています。

しかし股関節は感覚神経があまりないために、どうしても意識が通いにくく位置感覚が鈍くなってしまいやすい関節と言われています。

特徴として股関節はボール&ソケットタイプの関節で色んな方向に動く、とても自由度の高い関節です。このタイプの関節は人体に2つだけで股関節と肩関節しかありません。

また股関節は、いろんな方向に動かすための多くの筋肉があります。いろんな筋肉・靭帯に囲まれているため、よく動かさないと固くなりやすいんです(>_<)

股関節の動きは、屈曲・伸展・内転・外転・内旋・外旋の6つの方向に動き、ピッチングの体重移動ひとつとっても複雑に色んな方向に動かしながら行います。

ピッチングの体重移動の際の股関節の動きを詳しく説明すると

前足を上げるとき、または上げてから前方へ体重移動を始めるときに前足の股関節は屈曲・内旋します。後ろ足の股関節は前足を上げたとき、または上げ前方に体重移動し始めるときに内旋(前足を上げきるところで少し屈曲することもあり)しています。

そして前足を下ろしていくときには、左右差は当然ありますが、両股関節とも少しずつ伸展・外転・外旋します。前足が着地すると、前足の股関節は少しずつ屈曲・内転・内旋していきます。後ろ足の股関節は・・・と、まだ続きはありますが

「ややこしいっ!!」ですよね(^^;

股関節の動かし方は、ここまで細かく覚える必要はありません。なんとなくで全然大丈夫です^^

ピッチング動作は、前の足を上げてからリリースまで、あっという間に終わってしまいます。

その間に「前足の股関節を屈曲・内旋させて、次は後ろの股関節はこうして・・・ああして・・・」など細かく考えている暇はありません(^^;

股関節は意識しすぎるとよくありません

「股関節の使い方がピッチング動作にいい影響を与える」

これは間違いありません。ピッチングでの体重移動は「股関節」をしっかり使ってする必要があります。

股関節をうまく使えていると腰の回転が速くなり、その上にある肩の回転も速くなります。

股関節がうまく使えるようになると、効率的に下半身の力をピッチングに活かせるようになるため、ピッチングの向上につながります。

活躍しているプロ野球選手のピッチングフォームをスローモーションで見てみると、とてもスムーズ効率よく股関節が使えているのがわかります。

しかし、体重移動のときに股関節を意識しすぎると、逆にピッチングに悪い影響を及ぼす可能性があります。

菊池雄星はプロに入り、なかなかピッチングフォームが安定せず苦しんでいた時期に、このようなことを言っていました。

「意識するということは、筋肉が働いちゃうということなので。『腕を上げよう』とか『骨盤をこうしよう』と意識することで、本来動かしたい瞬間よりも一瞬早く動いてしまったり、硬くなってしまったりするんです」

引用元:web Sportiva

スポーツ選手にとって「こうしよう」「ああしよう」などの『思考(考える)』というのはリスクをともなうことがあります。

体の使い方やトレーニング・技術についてたくさん勉強して、いいものを取り入れることは大切です。

しかし『思考(考える)』は「動きを鈍くさせる原因」にもなる可能性があります。

ピッチング時に「こうしよう」「ああしよう」と考えることで、逆に体がうまく動かなくなり、思った様に動けなくなってしまうリスクがあります。

そのためプロ野球の世界でもできる限り「考えない」で、本能のままプレーをして活躍している選手もいます。

自分の体をうまくコントロールするには「意識するポイント」「意識しない(無意識の)ほうがいいポイント」のバランスがとても大切になってきます!

骨盤を前傾させると股関節周りの筋肉が使いやすくなりますが・・・

体重移動のときに、骨盤を前傾させると股関節周りの筋肉が使いやすくなります。特にお尻・太もも裏(ハムストリング)などのピッチングに必要な筋肉が使いやすくなります。

 

また骨盤を前傾させると、股関節が内側に向きやすくプロのピッチングフォームに近づくことができます。

しかし、骨盤を前傾したときに背中・太ももの内側の筋肉も一緒に緊張してしまいます。背中や太ももの内側の筋肉が緊張すると、ピッチングに悪影響が出てしまいます。

上半身が崩れやすくなりピッチングに無駄が出てしまい、下半身もうまく使えなくなります。

また骨盤を前傾させ背中の筋肉が力むと、腰が反り胸が張ります。こうなると、胸や腕が力んでしまいます。

すると上体の姿勢を維持するための腰部分が安定せずにブレてしまい、その結果、ピッチングフォームが崩れてしまいます。

胸は、意識して骨盤を前傾させ「張るもの」ではなく、ピッチング動作の過程で「無意識に自然と張られるもの」です。

プロの一流投手のピッチングフォームを見てみると、始めは少し猫背で胸の周りがリラックスしています。

そして、体重移動が起こり腰が回転したと同時に、自然と胸が張られていきます。

意識して胸の筋肉を先に張ってしまうと、ピッチング動作で股関節など下半身をうまく使えなくなってしまうんです。

これと同じでピッチング動作の過程で必要ならば、体重移動のときに「骨盤も自然と前傾」しますし、「股関節も自然と内側に向けられる」のです。

意識して前傾させると、無理に腰を反らせることになるので腰の筋肉などに大きな負担がかかり、ケガのもとになります(>_<)

股関節をうまく使える姿勢

うまく股関節を使えるようにするには、骨盤を前傾させるのではなく「股関節をうまく使える姿勢」をとることが大切です。

「うまく股関節を使える姿勢」とは、上半身の緊張がほぐれリラックスした状態です。そのためには、背中の筋肉をリラックスさせることが重要です。

一流ピッチャーの背中の筋肉はリラックスしており、自然と「うまく股関節を使える姿勢」になっています。

どのようにして背中の筋肉をリラックスさせるかといいますと「首を上に伸ばして、肩を落とす」のが効果的といわれています。

 

このようにして背中の筋肉がリラックスすれば、自然と股関節がうまく使われ素早く回転して、良いピッチングが期待できます。

肩や腕の力も抜けますし、また体幹と腕が一体となり下半身と連動しやすくなり、エネルギーがボールにしっかりと伝わりますので、一石二鳥以上の価値があります(^^)

上半身の姿勢を整え、上半身をリラックスさせることで、今までよりも楽にピッチング動作ができるようになります。

股関節は固くてもいい

ピッチングでは

  • 「股関節は柔らかいほうがいい」
  • 「股関節を柔らかくするとケガを予防できる」
  • 「股関節が柔らかいと歩幅が広くなる」

など股関節が柔らかいと良いことばかり言われます。

日本人ピッチャー史上初先発勝利のみで日米通算200勝した黒田博樹氏は、ものすごく体が固い投手でした。

 

日本でもメジャーでも、毎年のように良いピッチングをしても味方の援護にめぐまれませんでした。そのためなかなか勝ち星にも恵まれず勝利数が伸び悩みました。

そんな環境のなか200勝を達成した黒田博樹氏は、日本でもメジャーでも非常に評価が高いピッチャーといわれています!

黒田氏はものすごく体が固かったため「ケガをするから柔らかくしろ!」とよく言われていました。

しかし黒田氏は広島カープ時代「ミスター完投」と呼ばれるくらい完投数も多く、メジャーに行ってもずっとローテーションを守り続け、日米通算投球回数はなんと歴代トップです(>_<)!

これだけ多く投げているにも関わらず、現役時代大きなケガをすることありませんでした。球速もMAX157キロと速いほうで、メジャーでは平均147.9キロを投げていました。

そんな黒田氏は自分の固い体をプラスに考え「固いのが逆に地面からの反発力につながっている」と言っていて

  • 可動域はやればやるほど柔らかくなると思うが、もって生まれたものがあり、筋肉の長さや太さは個人差がある
  • ケアやストレッチは大事だが、大きなケガをすることなくやってきたので、無理に柔らかくする必要はない

と考えています。確かに体が固くて成功しているスポーツ選手も多くいます。

柔軟性があるほうが良いと、無理にストレッチや柔軟体操をして、ケガをしたりパフォーマンスが低下している選手もいます。

黒田氏とは逆に、体が柔らかすぎるピッチャーといえば、西武・菊池雄星です。

 

とても柔軟性が高く、肩関節は「手の平を合わせた状態で、両腕を背中から尻までグルリと回せる」ことができ、また股関節は「お相撲さんのように脚を180度開脚して股割りをする」こともできます。

肩関節や股関節の柔らかさが、菊地投手のピッチングにエネルギーを与えているのは確かですが、実はこの「柔らかさ」が体のコントロールを難しくするというマイナスの面も持っているのです。

菊地投手はプロ入りして数年間、自分の柔らかすぎる体をうまくコントロールできずにいました。菊地自身もこう言っています。

「自分でコントロールできるなかでの柔らかさは大事だと思います。

でも、やみくもに可動域を広げても、自分の感覚のなかでコントロールできなければ意味がありません。

「ここだ!」というタイミングで筋肉を発火できないといけません」

引用元:web Sportiva

プロ入りして何年もの間、ピッチングフォームがなかなか安定せず高校時代よりも球速が落ちたり、肩などの故障に悩まされたりしていました。

ストレートは、うまくコントロールされるとキレや破壊力は抜群で誰もとらえられません。しかし試合中にコントロールできなくなることがたくさん見られました。

転機がおとずれたのは2014年オフ。土肥投手コーチが就任して、右足(前足)の上げ方・股関節の動きなどピッチングフォームを一から作り直しました。それまでのピッチングフォームを菊地投手は

「体が暴れていたし、よくあんなフォームで投げていたな」

引用元:サンスポ.COM

と言っています。その後、徐々に身体のコントロールができるようになり「ピッチングフォームが固まって、頭で思っていた(意識していた)ことが無意識にできるようになってきた」と言います。そして土肥コーチは、

「当時は能力で150キロが出ていたけど、手投げのような感じ。いまは股関節からしっかりと連動して投げられていて、微調整するぐらい」

引用元:サンスポ.COM

と言い、菊地投手の成長を感じています。

2009年にプロ入りし度重なるケガに泣かされ、ピッチングフォームもなかなか安定せず何年も苦しんでいました。

しかし2014年オフ土肥コーチという名コーチとの出会いによって、菊地投手は生まれ変わりました。

肩・股関節など柔らかすぎて制御できなかった身体をうまく使えるようになり、ピッチングフォームも安定しコントロールが良くなってきましたす。

このように筋肉の長さや太さなど個人差がありますので「固いのがダメ」「柔らかいのが良い」と簡単に決めつけることはできません(>_<)

歩幅は広いほうが有利だが狭くても大丈夫

ピッチャーは、歩幅が広ければ広いほどバッターに近づいていきますので当然有利になります。

しかし「歩幅が広い」ほうが有利だからといって、むやみに大きく踏み出して歩幅を広くするのは、逆にピッチングに悪影響を与えてしまいます。

黒田博樹氏は以前、歩幅のことを色々と考えていました。しかし野球の本場アメリカに渡り、考えが変わりました。

2メートル近い身長のメジャーリーガーと投げ合ったとき、自分の歩幅より20~30センチも前にある相手投手の足跡に「体では勝負できないなと感じた」といいます。

昔は歩幅を「6足半」と決めていましたが、段々そのことを考えなくなってきました。その理由をこう語っています。

「当然歩幅が広いほどバッターの近くでボールを投げられるので、それは優位に決まっているが、(メジャーの)2m近い身長のピッチャーの歩幅と僕の歩幅を一緒にしようなんて絶対に無理。自分にあったフォームで自分の中の良い球を投げないと意味がない。」

これは僕も賛成です。股関節の柔軟性や筋肉の長さや太さなど、人間の体は個人差が大きく、歩幅をむやみに広くしてしまうと自分のピッチングができなくなってしまう可能性があります。

少しでも股関節の可動域が広がり、股関節がちゃんと使える安定した距離の歩幅が広がれば良いと思います。

ただ、歩幅を広げようとしすぎて必要以上に股関節を柔らかくしたり、大きく踏み出しすぎると筋肉・靭帯に無理な負担がかかりますし、何より股関節がうまく使えなくなってしまいます。

大切なのは、一人一人に合ったピッチングフォームで、楽に良いボールを投げるというかとなのです(^^)

重心は低いほうがいい?

ピッチングをするとき、股関節や膝を深く曲げて「なるべく体の重心は低くするほうがいい」と指導されることがあります。

重心を低くし、その状態のまま体重移動すると「コントロールが良くなる」といわれています。

重心を低くすると上半身が力み、股関節がうまく使えなくなる

股関節や膝を深く曲げて重心を下げると、下半身によく力が入ります。

“ほどよく”力が入る分には良いと思います。しかし太ももの筋肉に力が入りすぎて、筋肉が張るまで、深く股関節や膝を曲げて重心を下げるのはおすすめできません。

そこまで重心を下げてしまい下半身に力が入りすぎることで、リラックスしてほしい上半身まで力んでしまうんです(^^;

勘の良い人なら分かると思いますが、ムリに重心を低くすると、踏み込んだときに「必要以上に歩幅が広く」なることもあります。

そうなると「股関節がうまく使えない」だけでなく、上半身が力んでしまい肩関節周りの筋肉も固くなり柔軟性がなくなります。

肩や腕にムダな力が入って腕を振ってしまうと、しっかりと力いっぱい投げたつもりでも思ったほど球速が出ません。

また股関節がうまく使えず下半身の力が利用できないということは、その分、肩や腕など上半身に頼ったピッチングになってしまうため肩・肘・腰などのケガや故障につながります。

理想の重心の位置と歩幅とは?

理想の重心の位置と歩幅の条件

  1. 自分にとって下半身に負担がかからない
  2. 自分にとって一番上半身が安定してリラックスできる

手足の長さ、筋力など人それぞれ個人差がありますので「自分にとって」一番楽に体重移動ができる重心の高さ・歩幅が良いんです!

股関節や膝を曲げすぎて重心が低すぎた人は、理想の高さの重心になると、下半身の動きだけではなく、あらゆる上半身の動きも良くなります^^

それには、地面に着地した前足の膝の角度が重要でポイントは「ほんのちょっとだけ膝を曲げる」イメージがちょうど良いと思います。こうすると上半身をリラックスさせたピッチングができます。

太ももやお尻に必要以上に力が入りすぎてしまっているときは重心が低く、また歩幅が広すぎるサインです。

そうなると股関節が効率的に使われず、体重移動のエネルギーがボールにうまく伝わりません。また上半身もリラックスできません。

次にあげるピッチャーは、歩幅が広くなく重心も高めの名投手たちです。

  • ランディジョンソン(MAX164キロ!通算303勝・歴代2位の4875奪三振・サイヤング賞5回)
  • ジャスティンバーランダー(MAX164キロ!二桁勝利11回、新人王、サイ・ヤング賞、MVPなど数々の賞、また最多奪三振4回で現役最強投手といわれる)
  • ボブフェラー(メジャーの投手、174キロを投げていたといわれる)
  • ウォルタージョンソン(通算417勝、生涯防御率2.17、シーズン最多奪三振12回(メジャー記録)、シーズン20勝以上12回)
  • 金田正一(日本歴代一位400勝・4490奪三振)
  • 上原浩治(歩幅を狭く重心を高くするなどピッチングフォームを改良したことで、メジャーに移籍してからのほうが奪三振率が大幅に上がっている)

その他、メジャーリーガーは比較的歩幅の狭く重心が高いピッチャーが多いですが、股関節など下半身を効率的に使い150キロ以上、160キロ以上の豪速球をバンバン投げます。

また日本でも重心を高くして投げるピッチャーも増えています

ピッチャーは、球数を多く投げないといけません。なるべく体に負担がかからず疲れにくいピッチングフォームがベストです。

理想の重心の位置・歩幅が身に付くと、体全体が効率的に使われ、体重移動のときの股関節などの使い方など、いろんな技術や動きが上達します(^^)

まとめ

ピッチングの体重移動は、股関節の動きが重要ですが、股関節は意識しすぎるとうまく使うことができません。

体重移動のときに、股関節を意識しないで股関節をうまく使うには、まず始めに「首を上に伸ばして、両肩を下ろす動作」で背中の筋肉をリラックスさせる必要があります。

股関節の柔軟性は個人差が大きく、歩幅や重心の高さも人それぞれです。

  1. 自分にとって下半身に負担がかからない
  2. 自分にとって一番上半身が安定してリラックスできる

このような重心の高さ・歩幅を見つけて下さい。ポイントは「膝をほんのちょっとだけ曲げる」でしたね(^^)

ピッチャーはたくさん球数を投げるので、楽に良いボールが投げられることが大切です。

最後までご覧いただきありがとうございます。またよろしくお願いいたします(^^)

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